相場は「恒常的な混乱」、予測には統計的裏付けが必要
統計
相場は数字を追いかけるゲームであるが、数学が役に立つことはあまりない。計算した通りには株価が動いてくれないからだ。
そんな“恒常的な混乱”の中で確実に仕掛け、確実に手仕舞うことが要求される。だから、「予測の的中率」が実効性をもたない。
とはいえ、売買する、ポジションを取る以上は必ず予測があるわけで、その予測は単なる期待ではなく、統計的裏付けが必要だ。
まず、FAIクラブ発足後1984年までの間に選定した132銘柄について、1段目の値幅は図表1の通りである。
[図表1]1段上げの値幅
「50円以下」は適切な選定ができなかったことになるのだが、「80~120円」「120円~170円」の部分が注目に値する。合計で約73%を占めており、
【ルール 26】
1段上げは約100円。しかし、70~80円で利食いする
というルールを裏付けるものである。次に、1段上げで50円以下だった5銘柄を除く127銘柄について、2段目の値幅を見てみよう(図表2)。
[図表2]2段上げの値幅
1段目に比べて、バラツキが大きい。そして、相場において統計的に「当たる」といえるところまで到達する価格帯が決定しにくい結果となっている。一応、
80~230円 約54%
であるのだが、幅広くなってしまうので、1段目ほどはっきりしたものではない。
1段目が底からの上げなのに対して、位置も上がって市場での注目度が増し、それだけ動きが激しくなっているのである。
では、3段目を見てみよう(図表3)。2段目で1段目の高値を抜かなかった6銘柄を除く、121銘柄についての値幅の分布である。
[図表3]3段上げの値幅
①高値を抜かなかった銘柄が増えた
②バラツキがさらに大きくなった
③最多の価格帯といえるものがない
つまり、全くわからない。激しい、メチャメチャな動きをみせる。
選定銘柄の中には、目標の2倍どころか、10倍、20倍に跳ね上がったものもあるが、それを予測することも、また期待してポジションを維持することも現実的ではない、ということである。
予測できないのに「当てよう」とするのは余計なこと⁉
現実の狙い
「1段上げ」のルール 26について、もう少し解説しよう。前項で「数学が役に立つことはあまりない」と述べた。数学的に考えた場合、
37.8%もある「120~170円」を取り、そこまで達しない銘柄をどうするか
と、ギリギリの線を計算していくことになる。ところが、この考えが地獄の一丁目。予測ができないから月足を描いたり場帳をつけて手間をかけているのに、いつの間にやら「当てよう」としているのである。
だから、
①確実に手仕舞うことのできる値幅、70~80円を最後の歯止めとする
②そこから先は人にくれてやれ!
③気持ちを荒らし、手(売買)を荒らすことなく、「継続した安定性=最大の攻め」と認識する
以外に、よけいなことをやるべきではないのだ。
ルール26は、先人の苦労と知恵を表しており、きちんとした経験があれば「なるほど」と納得できる文言である。納得できそうもない読者は即刻、相場をやめて、この先確実に損するであろうカネで、おいしいものを食べたり、洋服を買って楽しく過ごしてほしい。