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マンション経営…自分の物件の「魅力」を検証する際のポイント

前回は、不動産オーナーが注視すべき「街のブランドイメージ」の変化について取り上げました。今回は、自分の物件の「魅力」を検証する際のポイントを見ていきます。

自分の物件が「ニーズにマッチしているか」考えてみる

マンション経営「黒字化」のためのポイントの一つは、現地のニーズを踏まえた上で、自分の所有する物件に魅力があるかどうかを再考することです。

 

有名な星野リゾートの再建を例に考えてみましょう。長い経済停滞が続き、消費者の財布の紐が固くなっているなかでも、一泊何万円という安くない星野リゾートのホテルが、常にフル稼働の人気を得るようになったのはなぜでしょうか。

 

それは、場所を含めて、建物、設備、接客、料理まで徹底して非日常を体験してもらうという同社のコンセプトが非常によく練られ、ニーズにマッチするものだったからです。日常を忘れてゆったりとした気分で最高の時間を過ごしたい。そんな人々の需要に、地域の特性を活かして応えているからこそ、リピーターがやってくるのです。

 

賃貸住宅と一緒にするわけにはいきませんが、コンセプト、考え方は参考になります。地域の特性や、そこに住む人々の傾向が調査できたとして、果たして自分の物件はニーズにマッチしているでしょうか。同じエリアに林立する競合物件と比較して、選んでもらえるような魅力があるでしょうか。周囲の物件と同じことをしていては入居者を確保することはできません。

 

たとえば、私が2006年に手がけた千葉市の3LDKのファミリー向け賃貸は、思い切ってメゾネットにしました。1階に駐車場とバスルーム、2階に居室とLDK、3階に居室2つと子ども向けのロフトをつけました。周囲にはメゾネットでロフトつきの物件はまずありませんでしたから、子どもたちにたいへん気に入ってもらえました。前述した星野リゾートは非日常を体験してもらうコンセプトがありましたが、賃貸住宅なら自分では建てられないような住まいを提供すれば、魅力を感じてもらえると考えたのです。

 

周辺の3LDKだと、家賃はおおむね8万円ほどなのですが、私は思い切って9万円の値付けを行いました。

 

「メゾネットという魅力のある物件なのだから、それぐらい払っても損はしませんよ」

 

という思いを込めた家賃設定でした。

 

一抹の不安はありましたが、ふたを開けてみると狙い通りすぐに入居者が決まり、その後もクチコミで人気が広がり、ウエイティング客がつくほどです。それを受けて家賃を10万円に上げたのですが、それでも満室状態が続いています。周辺の物件を見ると8万円でも稼働率は8割を切っている物件が多くありますから、物件の魅力度を消費者目線で考えることがいかに重要であるかが分かります。

 

 

[図表1]メゾネットの物件外観

 

1階に駐車場、3階のクローゼット上部に子ども用のロフトをつくり、他の物件との差別化を図った。
[図表2]メゾネットの物件間取り図  1階に駐車場、3階のクローゼット上部に子ども用のロフトをつくり、他の物件との差別化を図った。

需要に合致すれば、高い家賃でも入居者がつく

一般論にとらわれて皆と同じことをやっていては成果は上がりません。ニッチであろうと需要に合致すれば高い家賃でも入居者がついてくれます。

 

一般的には、駅前や駅近に住みたがるのは単身者で、駅から遠くなるほどファミリー層が増えていくイメージが強いのですが、なかには自転車やバイクなどの趣味があり、駅までの徒歩時間よりも趣味を楽しめる住まいのほうがいいと考える単身者もいます。そうした人は、自宅が駅から遠くてもかまわないのです。むしろ、自転車を自分の部屋のなかに入れることができる、バイクが玄関に入るといった物件であれば、家賃が若干高くても入ってくれます。

 

昔から、防音装置に力を入れた音楽家向けの賃貸住宅は少なくありませんが、最近はバイクライダー専門の賃貸マンションが密かなブームになっています。ネットで情報が広がり、人気の物件は空室待ちの状態になっているそうです。

 

こうした点は既存の大手住宅メーカーや賃貸住宅の専業メーカーでは対応できません。基本的に大量生産・大量供給が前提になっていますから、個別の事情などを考慮してカスタマイズすることはできないのです。いちいち対応していると建築コストが高くなって、メーカーとしては割が合わない仕事になります。

 

大手の担当者は、「いまはこういう間取り、こういう設備・仕様の物件が一番人気があります」といった平均的な商品を勧めてきます。それに対してほとんどのオーナーは、「大手がいうのだから間違いないだろう」と安易に任せてしまいますが、同じような新築物件が後から建てば、優位性は簡単に失われてしまいますし、流行が移り変わったときに「古臭い物件」に見えてしまいます。

 

 

 

川口 豊人

株式会社コンシェル川口 代表取締役

1979年千葉県生まれ。専門学校卒業後、税理士事務所に入所。25歳のときに祖父から郊外の赤字アパートの管理を引き継ぎ、黒字化に成功。
通常の税理士事務所では相続税額の計算や節税についてのアドバイスはできても、不動産の管理運営業務や不動産投資に近いアドバイス、相続税を軽減していく作業ができていない現状を鑑み、株式会社コンシェル川口を立ち上げる。地権者などを中心に不動産の管理運営面と税務面をワンストップで解決するサービスを提供している。
2015年4月からは、事業構想大学院大学にて、価値の創造をテーマに研究中。

著者紹介

連載マンション経営の黒字化計画・・・赤字の原因を突き止める「市場調査」のススメ

 

マンションオーナーの赤字脱却術

マンションオーナーの赤字脱却術

川口 豊人

幻冬舎メディアコンサルティング

相続対策や資産運用目的でアパートやマンションを購入する人が増えましたが、不動産取得後の運用に苦しむオーナーは少なくありません。 賃貸物件は供給過多であり、借り手は減り続けています。実際に東京都内でも空室率は12%…

 

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