ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットに代表される世界の富裕層の多くは、自らの資産を活用して「財団」等を立ち上げ、社会問題の解決に挑むなど、積極的な社会貢献活動を行っています。日本ではまだあまり浸透していない社会貢献活動の可能性について、ファンドレイジングアドバイザーの肩書きを持つ宮本聡氏が解説します。今回は、NPOに関する誤解を解いていきます。

NPOは利益の分配ができないだけで、利益は得てOK

「非営利」なんだから利益を上げてはいけない、と誤解されることも多いNPOですが、非営利の意味は法人の持ち主に利益を還元できないというだけであって、利益を上げ、内部留保を積むこともできます。

 

たまに「あなたたちはNPOなのに何で利用者からお金を取るの?」とか「寄付金を人件費に使うなんてけしからん」という人がいますが、これは「非営利」という言葉を誤解した典型的なものです。

 

「法人の持ち主に利益を還元できない」という意味がわかりにくいと言われることが多いので、営利を目的として活動している会社(株式会社等)と比べて解説しますと、株式会社はお金(出資)を集めてそれを元手に事業を行い、儲かった分を「株主」という名の法人の持ち主に配当金として分配しますが、NPOはこの利益の分配ができないのです。

 

NPO法でも、余ったお金を法人の持ち主である社員(従業員のことではなく会員のこと)で分配してはいけない、と規定されています。つまりこのルールを守っていれば、事業によって収益を得てもいいし、経営の安定のために一定額を貯めておくこともできますし、職員が適切な報酬を受け取ることもできます。

 

NPOは利益の追求を目的とすることはできませんが、本来の目的である非営利活動の結果、利益が出ることはまったく問題ありません。

 

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NPO=滅私奉公や自己犠牲ではない

ただ、こうして出た利益に余剰があった場合、会員や理事に分配することはできませんから、次の期に繰り越すか、またはそのお金を使ってさらに非営利活動を行うことになります。

 

NPOの世界に身を投じることは、けっして滅私奉公や自己犠牲ではないということは、ぜひ多くの方に知っておいていただきたいところです。最近では職員に対して、企業にも劣らない水準の報酬を支払うNPOも増えてきています。

 

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