ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットに代表される世界の富裕層の多くは、自らの資産を活用して「財団」等を立ち上げ、社会問題の解決に挑むなど、積極的な社会貢献活動を行っています。日本ではまだあまり浸透していない社会貢献活動の可能性について、ファンドレイジングアドバイザーの肩書きを持つ宮本聡氏が解説します。今回は、NPOの社会的な役割のひとつ「アドボカシー」などを紹介します。

NPOの活動は非常に多種多様

地域の高齢者のために食事をつくって届ける、里山を守り育てその活用を図る、町並みを保存する、地雷除去・撤廃に取り組む、子どもの虐待を防ぐなど、NPOの活動はさまざまにあります。活動の範囲も、特定の地域に限定したものから、全国、海外に及ぶものなど、団体によってさまざまです。

 

NPO法人に限っていえば、特定非営利活動が20分野に限定されており、NPO法人はその活動の種類を定款に記すことになっているため、日本のNPO活動の実態を知るうえで指標の一つとなっています。

 

ただ、広義のNPO活動には、NPO法に定められた20分野の特定非営利活動だけでは表現しきれない多様な活動もあります。

 

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NPOなら、行政等では扱いにくいニーズにも対応可能

ある社会的なサービスを提供する際、政府・自治体などが行うなら、広く多くの人の合意形成が必要です。また企業は、利益が上がることが見込めないサービスを提供することはなかなか考えられません。

 

NPOとは、こうした行政や企業では扱いにくいニーズに対応する活動を自発的に創意工夫して行う団体です。

 

便益を受けるものが費用を負担するという意味の「受益者負担」という言葉がありますが、この「受益者負担の原則」が成立しにくい分野こそが、NPOの活躍するフィールドといえます。

 

例えば、生活困窮家庭の子どもに学習支援を提供する活動をした場合、受益者=勉強を教わる子どもにその費用を払ってもらうことは困難です。第三者による費用負担、寄付などの支援性資金を活用することによってサービスを提供できるNPOだからこそ、このような分野での活躍が期待できるのです。

 

また、直接困った人に手を差し伸べるわけではありませんが、制度の改革に取り組むなど、より問題の上流からの間接的なアプローチで、社会的な問題を解決するために活動する団体もあります。こうした活動を「アドボカシー(advocacy)」と呼び、これらもNPOの重要な社会的な役割として欠かすことができません。


アドボカシーとは、英語で本来は「擁護」や「支持をする」などの意味を持つ言葉で、日本では「政策提言」や「権利擁護」などの意味で使われますが、具体的には、社会的弱者、マイノリティー等の権利擁護や代弁の他、その運動や政策提言、特定の問題に対する政治的提言、保健医療、社会環境での性差撤廃、地球環境問題など幅広く用いられています。

 

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