「タネ銭は多いほうがいい」のは事実だが・・・
不動産投資はいくらぐらいの自己資金、タネ銭を用意してはじめたらよいか。この質問に対する答えは、まさに投資家それぞれです。「ホントにゼロからはじめられますよ」という人もいます。
ただし、実際は土地を持っている地主だったり、遊休資産を持っていることが条件となります。そうでなくても、不動産の購入資金は全額融資を受けたとしても、その際の口座開設料や税金などはどうしても必要です。その意味では、本当にゼロではなく、現実には一般的な人がふつうに持っている貯金、50万円とか100万円くらいは必要です。
一方、スムーズに不動産投資をはじめる場合、タネ銭は多いほうがいいのは事実です。500万円より1000万円、1000万円より2000万円持っているほうが余裕をもってはじめられるのは当然です。
では、僕はいくらのタネ銭ではじめたのか。まったくのゼロ円ではありませんでしたが、数百万円くらいは貯金していたかな、という状態でした。
この話には、ウラがあります。僕にとっての最初の不動産投資は自宅の駐車スペースをガレージとして賃貸したことでした。「なんだ、駐車スペース? しかも自宅の?」と思う方もいるかもしれませんが、これも立派な不動産投資です。書籍『高校中退父さんのみるみるお金が増える不動産投資の授業』第2章で紹介した「商売をゼロからはじめる」というルールにも適っています。
お金がなくても不動産投資はできます。何も最初からアパートやマンション1棟に投資する必要はありません。お金がなくてもできる不動産投資を選べばいいのです。
ここには、重要な意味があります。どんな小さな額の不動産投資でも、手がけていけばやり方のコツやツボといったものが学べるようになるのです。
借り手はどのようなことを求めるのか、苦情があったとき、起きないようにするための留意点、日頃の管理を行っていくときに注意すべきこと、賃料を上げるときの話の切り出し方など、細かなことについても知恵がついてきます。
しかも不動産は、株式やFXといった金融資産とは異なり、短期的に〝失敗した!〟といった思いになることはほとんどありません。相場が自分の投資と収益にどう関わってくるかといったことについても、ゆっくりと学べる利点があります。
ですから、「千万単位のお金を貯めてから不動産投資をはじめよう!」と考えるくらいなら、まず、いま手元で動かせる元手をタネ銭として、できる不動産投資をはじめてみるというのが正解です。それで、実地に知恵を身につけていくのです。
そういう意味で「お金がなくても不動産投資はできる。はじめてみることが大切」ということを考えてください。
「300万円程度」の自己資金はあったほうがいい
個人的・感覚的な話になりますが、ホンネをいうと、300万円くらいは貯めたほうがいいと思います。そのくらいの金額をコツコツと貯めることができない性格・体質では、不動産投資はもちろん、他のビジネスをはじめるのも大変ではないでしょうか。
特にいまの金利状況では、そのことをより実感できるでしょう。4000万円のアパートを20年ローンで購入したとします。10年返済すれば、金利を加味しても45%くらいは返せているでしょう。残額は55%、2200万円です。
一方、10年経過しているのでアパートの価値も下がり、仮に2割下がったとすると、3200万円の物件価値ということになります。そこで売却すると、1000万円のキャッシュが生まれます。4000万円の物件をフルローンで購入する場合、概ね自己資金が300万円くらいは必要です。
つまり、4000万円のローンの返済は入居者からの家賃でまかなうと、結局、その物件を10年維持すると、300万円の投資で1000万円のリターンになるということです。その間、家賃収入の残りを貯蓄すると、もっと大きな額のリターンを得たことになります。
この計算では税金を加味していませんが、元本の返済には所得税を払って返します。先ほどの1000万円のキャッシュは納税済み利益なので、値上がり以外は税金は安いです。それも、これも、自己資金の300万円を貯めることができる性格・体質かどうかに関わってくるのです。