不動産投資を行っている「典型的なタイプ」とは?
不動産投資をはじめる初期段階のお金のことを、実体験を踏まえつつもう少し詳しく説明しましょう。
不動産投資を行っている典型的な人は、かつては全国各地にいる地主さんでした。その人が従事している職業は大家であったり、農業であったり、公務員であったり、地元の小さな会社の経営者であったり、小さな商店をしていたり、さまざまですが、みな先祖、先代からの土地を相続していて、土地そのものは持ち続けていた人たちです。
そういう人が「持っている土地を有効活用したい」と、自分の代でアパートを建て、賃貸経営を行ってきたわけです。大家に、より専念するようになったのです。
それらの「地主タイプ」の人は、「お金持ち」とはいっても実態としては「資産」は持っていても、「お金」を持っているかというと、そうともいえません。少し考えてみれば、そのことはすぐわかります。2代、3代と続く相続で、分けやすいお金は遺産分割して、分けにくい土地が残って、それを2代目、3代目が引き継いでいるのですから。
たしかに、いざとなったら処分できる資産があることで余裕は生まれます。でも、現金が豊かにあるわけではないと、意外と生活は質素です。そして、資産を有効活用するという才覚に長けているわけでもないので、贅沢が苦手な人もけっこういます。
そうした地主タイプではなく、いわば「投資家タイプ」と考えられる人も増えてきました。もう一つの典型的なタイプです。
これも職業は地主タイプと同様にさまざまですが、不動産を投資の「対象」と考え、「お金がお金を生む、お金に働いてもらう」といった意識が強い人たちです。投資の才覚もあります。アパート経営は銀行融資を利用して行うこともあり、どちらかというと学歴も高く安定的な職業に長く就いている傾向もあります。
そのような人のなかには特別な才覚を活かし、「お金持ち・資産家」と呼ばれる人もいます。「資産数十億円、家賃収入年1億円」などと豪語する人もいます。
ところが、そのような大きな資産を持っている人が、一方で多額の負債を抱えているケースもあります。「資産数十億円、家賃収入年1億円。だけど、借入金の返済が年間数千万円」というタイプです。それでも、生活は十分に成り立っているわけですから、一般人に比べればゆとりのある生活を楽しんでいます。
大きなお金を用意しなくても、不動産購入は続けられる
この両者の典型的なタイプについて、ちょっと冷静に考えてみてください。本当にありあまるお金があって、そのお金を使って不動産投資を行っているのか、と。
地主タイプの人は土地をもっているからこそ、それを担保に融資を受け、アパート経営をしています。「投資家タイプ」も勤め先の信用があるからこそ、最初の融資を受けることができ、その不動産投資がうまくいっているからこそ次の借入れと投資ができているのです。
もちろん、不動産投資家は両者のタイプにきれいに分けられるものではなく、例外はたくさんあるでしょう。融資が受けられるようになる前の僕も例外の一人といえるかもしれません。
不動産投資を行っている典型的なタイプの人も、みな余裕の自己資金で投資物件を購入し、不動産投資をはじめるわけではありません。お金持ちでも不動産購入のために、じつは大きなお金を用意しているわけではありません。後述する再投資といった手法によって、大きなお金を用意しなくても不動産の購入を続けることができるしくみがあるのです。
ですから、「お金はあったほうがいいけれど、なくても不動産投資ができる!」と安心してください。ただし・・・、「お金は使うものではなく、活かすもの」といった発想は大切です。これまで、「お金はまず貯めるもの、使うときは貯まった分から使うもの」という考えにどっぷり浸かっていた人は、「活かしてこそのお金」といった発想に少し転換していく必要があります。