発電事業者の「収益性悪化」が問題となっているドイツ
前回の続きである。E.ON社は、電力システムの変革の波に大きく影響を受け、企業体の変容を迫られた会社といえる。
ドイツでは、2000年に再生可能エネルギー法が施行され、固定価格買取制度が導入されて以降、太陽光発電や風力発電の導入量が爆発的に増加した。これらの電源は燃料費が不要であるため、運転時に燃料費を要する従来型の火力発電よりも優先して市場で取引されている。
結果、再生可能エネルギーの増加に伴い、卸電力価格の低下や従来型火力発電設備の稼働率の低下により、発電事業者の収益性が悪化していることが大きな問題となっている。
「分散電源」に関連するサービス強化を進めるE.ON社
E.ON社は、上記のようなドイツ国内の事情を背景に、2016年12月に自社を2つの企業体に分割した。
具体的には、石炭やガスなどの従来型発電部門およびトレーディング部門をUniper社として切り離し、分割後の新生E.ON社は、前出の再生可能エネルギー発電部門、配電部門、小売を含む顧客サービス部門に特化することとしている。
なお、原子力発電については、引き続きE.ON社傘下のPreussenElektra社で保有・運営を行っている。
ただし、ドイツ政府は、国内の原子力発電の稼働を2022年までに完全に停止することを2011年に決定しており、PreussenElektra社も2017年10月現在、稼働している原子力発電所6基を順次閉鎖する予定である。このため、E.ON社は、原子力発電事業を他のコア事業と切り分け、「非コア事業」と位置づけている。
E.ON社は、こうした組織体制の変更も含めて、再生可能エネルギーや顧客サービス関連のサービスを拡充する動きを見せている。特にコア事業と位置づける「顧客ソリューション」の一環として、再生可能エネルギーを中心とする分散電源に関連するサービスを強化している。
この話は次回に続く。