激しさを増す前大統領と現政権の対立
マヒンダ・ラージャパクサ前スリランカ大統領は、新政権による予算編成と経済運営を糾弾した。スリランカ・ルピーの下落していることや、予算案の数字がでっちあげだとして、ラージャパクサ前大統領は、この予算案から国民はほとんど恩恵を受けられないと主張した。
ラージャパクサ前大統領は国営企業をコロンボ証券取引所に上場させる動きに対しても批判する。しかしラージャパクサ政権時、スリランカ航空など再度国営化された企業は、1,000億スリランカ・ルピー以上の損失を生んだ。
資金力ある企業に、政治的なコネを使って入り込んだ人たちが、何億スリランカ・ルピーもの額を流用し、複数のところから給与を貰っていたことにも非難があった。今の民営化の流れはこのような悪事が発生する余地をなくし、政治家とその取り巻きがかき集めたお金を没収することが出来るだろう。
ラージャパクサ前大統領はまた、国家公務員向けの拠出年金を開始する動きに対する批判も表明した。しかし拠出年金制の導入によって、現在、政治家と国家公務員の年金を賄うために税金をごっそり取られている国民の、この先の未知なる負担を軽減することが出来るだろう。また、専門家によれば、拠出年金制が採用されれば、現在、国会議員とその家族が加入している生涯に及ぶ年金制度は廃止されることになるそうだ。
しかしながら、ラージャパクサ前大統領は新政権になってから、国家の経常支出が増え、消費支出のためだけにより高い利率で210億アメリカドルを借り入れていると指摘した(正確には、そのうちの約5億米ドルは、ラージャパクサ政権時に発生したローン返済のためである)。
紙幣の大量増刷と国際収支に問題!?
また、ラージャパクサ氏は、石油価格が下落したにもかかわらず、外貨準備の損失、そしてスリランカ・ルピーの下落が起きているとことを批判する。
「石炭発電所も連続発電に入り、今年はエネルギーのコストが大幅に削減されました」とラージャパクサ前大統領は説明し、「このような好条件下にもかかわらず、政府の経済運営の失敗によって、スリランカは未曽有の危機の真っただ中に立たされてしまったのです」と続けた。
中央銀行が利率を操作するために紙幣を乱発したことで、スリランカが国際収支危機に陥る可能性があるとアナリスト達は警告してきた。政府の過剰な消費にあわせて紙幣を増発してきた中央銀行が、国際収支危機と通貨の下落という貨幣現象を招いたのだと指摘する経済アナリストもいる。
ラージャパクサ前大統領の任期中にも、国際収支危機は二度あり、特に二度目のは燃料補助金を支出するために紙幣を乱発したことが原因だった。一方で今回きっかけとなっているのは、主に国家公務員の給与だ。
次回からは、ラージャパクサ前大統領による政権批判の声明文の全文を掲載していきます。