写真:GTACスタッフ

自らが上げたとする功績と比較しながら、現政権の経済運営を痛烈に批判するラージャパクサ前大統領。今回は、現政権による2016年度予算案に対し、前大統領が具体的にどのような点で反対しているのかを見ていきます。

①公益事業の民営化計画

この予算案ではいくつかの抜本的な変更を模索していますが、これらの変更は深刻な問題を生むことになるでしょう。有害だと言える案の中からいくつかを、以下で紹介させていただきます。

 

この予算案の中で一番賛成できないのは、全面的な民営化計画です。ノロチョライ石炭火力発電所・水力発電所・セイロン石油公社・ハンバントタ港・コロンボ港・コロンボ空港・マッタラ空港・スリランカ上下水道庁(National Water Supply and Drainage Board of Sri Lanka)及びその他類似機関のような国営企業が、1つの上場企業の傘下に置かれ、その株が株式市場に投資家に売られる予定です。そして、この巨大企業はこれらを営利ビジネスとして運営していくことになるのです。

 

私は、水道・電気・交通・エネルギー供給といった公益事業は利益を追求するべきではなく、国民へのサービスとして存在するべきだと考えています。つまり、これらの事業を福祉の一環として位置づけた上で、国民にかかる負担を考慮するべきです。よって、これらの国営企業の民営化には反対です。

 

現政府に申し上げたいのは、スリランカ国民はこれらの財産の民営化に対し、まったく賛同していないということです。またその上で、これら国有財産を獲得しようとする方に忠告したいのは、未来の政府はおそらく躊躇なくスリランカ国民にこれらの財産の所有権を再び付与します。

②政府が保有する民間企業の株式売却

予算案によると、ランカ病院・ヒルトンホテル・ウォーターズ=エッジ・グランドオリエンタルホテル・モビテル社など具体名が挙がっている、政府が株を保有する戦略的重要性がない企業数社を、民間企業へ完全に売却する計画が立てられていますが、いずれの企業も利益を生み、政府の税外収入に貢献しています。即時に現金を受け取りたいという現政府の飽くなき欲望を満たすこと以外に、これら企業株を売却する理由が見られません。

③外国人の借地利用の緩和

外国人と借地契約を交わす際に、私の政権時に導入した税金を課さないという提案も賛同することが出来ません。(現在の与党である)統一国民党(UNP)が前回政権にあった時、土地所有権の規制が緩和されましたが、その結果、ゴールの旧市街と要塞、そして南部海岸沿いのかなりの部分が外国人の手に渡ってしまいました。このような政策は、短期的に見ればある程度の外貨を呼び込むかもしれませんが、長期的には深刻な結果をもたらすことになります。 


次回は、引き続き、予算案に対するラージャパクサ前大統領の反対意見をご紹介します。

この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2015年11月29日に報じた記事を、翻訳・編集したものです。

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