写真:GTACスタッフ

現政権が発表した2016年度予算案に対し、反対を示しているラージャパクサ大統領ですが、民営化計画や国有企業の売却など以外にも、反対する具体的な政策を挙げています。今回は前回に引き続き、その反対意見をご紹介します。

④紅茶産業に対する改革の方向性

安い紅茶を輸入しブレンドしてから再輸出できるよう規制緩和するという案も受け入れがたく、また最悪な事態につながる可能性が高いだろうと感じています。このような規制緩和を行えば、国産茶の需要は即座に減るでしょう。

 

スリランカでは何百、何千という小規模な地主および農業従事者たちが紅茶産業に頼っています。そのため、紅茶の輸入を許可する案は一握りの紅茶輸出業者にはメリットがありますが、何百、何千もの国民から生計手段をはく奪することになるはずです。紅茶産業を破壊するのではなく、高い生産コストや生産性の低さなどの問題に対する解決策を模索するべきでしょう。

⑤肥料や制服に対する補助の廃止

肥料に対する補助金や学校制服の無料配布を段階的に廃止し、肥料や衣服の代わりに、割引券の配布や現金による補助に切り替える案にも反対です。両者は生産活動に対する補助金として分類できますが、消費活動を補助するものではありません。肥料に対する補助金は、スリランカ国家がお米を自給自足できるようになることと大きく関わっています。

⑥公務員の年金制度の変更

2016年以降、公務員の職に就く者に拠出年金をあてがう案にも賛成できません。年金は公務員の特典であり、継続されるべきです。私の政権時にも、現行の従業員積立基金(EPF)や従業員信託基金(ETF)を混合させることなく、あるいはそれらに指一本触れることなく、民間セクター向けのまったく新しい拠出年金基金を用意したいと考えていました。

 

しかし現政府は、民間セクター向けにEPFとETFを混合させ、拠出年金基金を作り出すことを検討しています。そのようなことは、民間セクターの労働組合の協力や賛同なしに成されるべきではありません。更に言えば、EPFの運営は中央銀行のもとを離れるべきではないでしょう。


次回は、ラージャパクサ前大統領がこの予算案に欠けていると考えている視点についてお伝えします。

この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2015年11月29日に報じた記事を、翻訳・編集したものです。

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