写真:GTACスタッフ

スリランカ経済への多大な貢献を主張するラージャパクサ前大統領。政権交代が行われた2015年以降、スリランカの経済が暗転したと前大統領は批判します。前大統領は、現政権の経済運営をどう見ているのでしょうか。引き続き、ラージャパクサ前大統領による声明文を掲載します。

各種の経済指標は「悪化」を示している!?

政権交代以降、スリランカの経済は明らかに低迷しています。多数の開発プロジェクトが中断され、2015年1月以降、新しい開発プロジェクトはひとつも誕生していません。

 

外貨準備高は、ほんの数か月で820億米ルから640億米ドルまで減っています。スリランカ・ルピーの価値も下がり、2015年1月初旬には1米ドル=131スリランカ・ルピーだったのに対し、今はおよそ145スリランカ・ルピーです。(編集部注:2015年12月17日現在1米ドル=144.39スリランカ・ルピー)

 

またIMFによれば、スリランカの今年の経済成長率は5.5%に落ちるのではないかとされています。なかでも、紅茶とゴムの両産業が未曽有の危機に苛まれています。国を挙げて水田農業による大豊作を祝福できるはずでしたが、耕作者は米を政府公示の保証価格で売ることが出来ず、不幸を物語る象徴に成り下がってしまいました。

 

(コロンボ証券取引所の主要なインデックスである)ASPIは政権交代後7,000を切り、勢いも衰え非常に低迷しています。市場の見通しも暗いのです。外国投資家によるスリランカ公債の保有額は2014年12月末時点の4,520億スリランカ・ルピーから、2015年11月の3週目では3,030億スリランカ・ルピーまで減っています。この10億米ドル以上の下落は、スリランカの将来の見込みが低く信頼に欠けていることを示唆しています。

 

外貨準備の減少は、近い将来、国際収支危機をもたらす可能性があります。2015年の1年間で、新政府は総額21億5000万米ドル相当の外貨債を平均利率6.5%で発行しました。この額はノロチョライ石炭火力発電所・ハンバントタ港・マッタラ=ラージャパクサ国際空港・南部高速道路の全過程における開発コストを全て合わせたものにあたります。

 

それにもかかわらず新政府になってから、新規の開発プロジェクトはひとつも誕生していないのです。前代未聞の利率で外国から借り入れているお金は、消費や日々の支出を賄うために費やされているのでしょう。2015年10月、短期国債を発行するにあたっての上限額が8,500億スリランカ・ルピーから1兆2,500億スリランカ・ルピーまで引き上げられ、政府は危険を顧みない奔放さで紙幣を乱発し続けています。

原油安という好条件を活かせていないと批判

これらすべては、年頭以来ずっと続く、原油価格が急落するなかで起きました。2011年から2014年の間で平均100米ドルを超えていたのが、2015年は年間を通して、50米ドルを下回っています。

 

石油はスリランカ随一の輸入品目であり、この価格を半減させることはスリランカ経済にとって大きなコスト削減でした。これに加え、2015年は雨が十分降り、発電燃料の輸入を更に削減することが出来ました。また、石炭発電所も連続発電に入り、2015年はエネルギーコストを大幅に減らすことに成功した一年になりました。

 

このような好調さにもかかわらず、政府は経済運営上の判断に誤り、スリランカを未曽有の危機へと突き落としたのです。新政府が初めて本格的に編成した2016年に向けた予算とは、このような前提のもとで生まれています。


次回は、個々の政府案に対するラージャパクサ前大統領の反対意見をご紹介します。

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    この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2015年11月29日に報じた記事を、翻訳・編集したものです。

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