目先の利益に捉われ、理念を見失ったと政府を糾弾
また、政府が教育関連の予算を拡大したと詐欺的に見せかけていることに気付き、大変失望しています。
2016年の教育関連予算として1,860億スリランカ・ルピーが確保されてはいますが、この額の3分の2はたった一つの項目に割かれています。それは国有地や国有建物の主要な持ち越し費用(Capital Carrying Cost of Government Lands & Buildings)であり、つまり教育に使用された国有地や国有建物は一年間でいくら相当かを示しているのです。過去割り当てられた予算で建てられた建物の現在の価値を見定め、来たる年の「支出」項目と見なすことなんて出来ません。
この予算が採用しているアプローチは、政府のパートナーであるはずのスリランカ自由党(SLFP)が掲げるイデオロギーと一貫していません。歴史を紐解くとSLFPは、国有財産を積み上げ、地方にいる起業家たちに信頼を置いていました。価値ある国有財産や企業を売却する手法は、1977年の頃から統一国民党(UNP)のやり方でした。2005年に私が大統領に就任してから、私はすべての国有財産の売却取引と外国人への土地売却を中断しました。
SLFPを心から支持する者や(SLFPが加わる政党連合の)UPFAの革新的な党員は誰も、生存のために西洋に頼らないといけなくなる、この留まるところを知らぬ自由主義を支持しないでしょう。
(編集部注:ラージャパクサ前大統領は、現在のシリセーナ大統領と共にSLFPの一員で、現大統領派と前大統領派の内部対立を抱えている。また首相を輩出しているのは最大政党のUNPで現大統領と協力関係にある。)
外国人を優遇し、自国民に負荷をかけていると訴える
私たちは生産活動をベースにした経済を築き、自国の起業家を最大限に奨励し、世界を舞台に戦い勝ち抜けるようサポートする必要があります。この予算は、UNPの過去の予算案と同じく、外国人や輸入業に信頼を置いているのです。
この予算案は外国人に対し絶大な特権を付与する代わりに、スリランカ国民には、排気量に基づいた自動車税、パスポート料金の値上がり、バイク・自転車タクシー・トラック・ハンドトラクターなどへの乗り物税、免許証料金など、少なからぬ負担をかけています。また公務員の基本給に対し、10,000スリランカ・ルピーの手当が加わるとの公約は見送られました。
中央銀行が外国為替市場への介入から手を引くのであれば、ルピーは更に急落し、多くのトレーダーに影響を及ぼすでしょう。貨幣価値が下落すれば政府の負債額は急増し、インフレ率が上昇して生活にかかるコストや利率も引き上げられ、その結果、マクロ経済の観点で言えば不安定な状況に陥ります。そうなれば、銀行はリース業から撤退し、自動車ローン費が不必要に上昇するかもしれません。
全ての金融会社の全預金を保証するという動きは、中央銀行に受け入れられないほどの負荷がかかることになり、その結果、金融システムの至るところを次々と揺るがす可能性を秘めています。
最終回は、ラージャパクサ前大統領が甘いと指摘する、現政府の将来に対する展望についてお伝えします。