今回は、米国債積み立て投資を始めるタイミングの見極め方を見ていきます。※本連載では、株式会社ゴールドハーツ代表・ファイナンシャルプランナーの杉山暢達氏の著書、『証券会社がひた隠す米国債投資法』(ベストセラーズ)より一部を抜粋し、米国債投資の具体的な方法について解説していきます。

65歳からもらうことを考え、スタート時期を逆算

30年物の米国債を購入するとなると、償還日を迎えるのは30年後となります。つまり、30年後にお金がもらえることを考慮に入れて、米国債投資を始める必要があります。

 

たとえば、30歳から米国債投資を始めた場合、償還日を迎えるのは60歳です。60歳であれば、まだ仕事をしている人がほとんどでしょう。そのため米国債の償還は、臨時収入としての扱いになりそうです。

 

ご存じのように、かつて日本では60歳が定年とされていました。しかし、平成25年4月1日から施行されている「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の改正によって、定年は65歳まで延びました。

 

もちろん、この法改正は必ずしも65歳定年を義務付けるものではありません。ただ、社会的な要請を踏まえて、事実上、65歳が定年になったと考えるべきです。年金の支給開始が65歳になったことからもそれは明らかでしょう。

 

そうなると、30歳からの米国債投資は少し早いぐらいかもしれません。定年後に年金プラスアルファでお金をもらいたいという人は、35歳がひとつの目安となりそうです。

 

35歳から米国債投資を続けていれば、30年後の65歳から償還日を迎え、毎年お金がもらえることになります。額面金額1万ドルであれば、1ドル120円として120万円。つまり、月々10万円がプラスされるのです(税金、為替変動は考慮せず)。

 

このように、65歳からもらえることを考えて、米国債投資のスタート時期を逆算してみるのが王道です。あとは、利回りや投資額なども考慮して、できるだけ早く始めるようにしましょう。

購入するのは「最も安い時期」でなくてもいい⁉

米国債は金利によって価格が変動すると説明しました。そのことから考えると、「最も安い時期に購入した方がいいのでは」と思う人もいるかもしれません。ただ、そこにこだわりすぎる必要はないと思います。

 

金利はつねに変動しています。そして金利がどのように変動するかについては、正確に予想することは難しいでしょう。金利の動向を考え出してしまうと、そこに時間や労力を取られてしまいます。

 

それでは、せっかくほったらかしで運用できる米国債投資の魅力が半減してしまいます。そこに時間や労力をかけるぐらいなら、購入日をあらかじめ決めてしまって、何も考えずに購入した方が得策です。

 

たまたま今年は最安値で購入できたとしても、来年以降もそれが続くとは限りません。最適なタイミングは誰にも分かりませんし、その多くは結果論であることがほとんどです。

 

米国債投資によって実現するべきことは、あくまでも資産形成であり、将来資金の獲得です。その点を誤解しないようにしてください。金利を追い始めてしまえば、どこまで行ってもイタチごっこになりかねません。無理に最高点を取ろうとするのではなく、及第点を堅実に、長く続けていくことが大事なのです。

本連載は、杉山暢達氏の著書『証券会社がひた隠す米国債投資法』(ベストセラーズ)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

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