今回は、米国債投資と併用したい「つみたてNISA」について見ていきます。※本連載では、株式会社ゴールドハーツ代表・ファイナンシャルプランナーの杉山暢達氏の著書、『証券会社がひた隠す米国債投資法』(ベストセラーズ)より一部を抜粋し、米国債投資の具体的な方法について解説していきます。

「NISA」の非課税期間は最長5年だが・・・

米国債投資と併せて実践してもらいたいものとして、「つみたてNISA」があります。米国債投資だけでも資産運用は問題ありませんが、つみたてNISAを組み合わせることにより、さらに盤石な資産形成が可能となります。

 

ここであらためて、つみたてNISAについて詳しく解説していきましょう。そもそもNISAは、イギリスのISA(Individual Savings Account:個人貯蓄口座)をモデルにしたものです。その日本版ということで、NISA(Nippon Individual Savings Account:ニーサ)という名称がつけられました。

 

そんなNISAの特徴は、NISA口座(非課税口座)内であれば利益が非課税になるという点にあります。具体的には、毎年一定金額の範囲内(上限120万円)において、購入した金融商品から得られる利益に対し、税金がかからなくなる制度となります。

 

ただし、NISAの非課税期間は最長5年とされており、長期投資には向いていないという指摘がありました。期間経過後、新たな非課税投資枠への移管(ロールオーバー)による継続保有は可能ですが、それでは手間がかかってしまいます。

 

そこで、長期投資に特化した仕組みとして登場したのが「つみたてNISA」というわけです。つみたてNISAはまさに、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための、非課税制度と位置づけられています。

「つみたてNISA」が誕生した背景とは?

NISAの概要を理解したうえで、つみたてNISAの詳細について見ていきましょう。

 

その名称からも明らかなように、つみたてNISAは通常のNISAの”積立投資版”となります。ただしその中身については、通常のNISAよりも、より投資家の視点に立った制度であると言えそうです。

 

つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として、積立投資を行った商品から得た売却益及び配当金が20年間非課税になります。この点、税金が優遇されている一般のNISAと似ています。

 

つみたてNISAが誕生した背景にあったのは、既存の投資信託に対する批判でした。つまり、既存の金融商品が販売する証券会社のために売りやすく、そして手数料を稼ぎやすいものばかりだったのです。

 

このままでは日本の資産運用業が衰退してしまう。そのように懸念した金融庁が、満を持して打ち出したものが、つみたてNISAだったというわけです。

 

事実、金融庁が発表したところによると、つみたてNISAの要件を満たす国内株式型のインデックス投信における信託報酬率は平均0.27%。この低さからも、いかに顧客目線に立っているかが垣間見えます。

 

米国債投資をする人であれば、お勧めなのはつみたてNISAです。つみたてNISAは長期投資に向いていますし、換金性も高く、税の優遇もあるのでその点、米国債との相性も抜群です。米国債に投資しつつ、つみたてNISAも行うといいでしょう。

 

ただし、つみたてNISAで行う投資は、一般的な投資と変わりません。手数料はたしかに低い金融商品が厳選されているものの、上がるか下がるかについては未知数です。そのリスクを許容しなければなりません。

 

理想的な資産運用としては、米国ゼロクーポン債で安定的に資産を形成しつつ、つみたてNISAでリスクを取りながら攻めの投資をしていくことでしょうか。そのあたりについては、ご自身の資産状況を踏まえつつ、バランスよく考えるようにしてください。

本連載は、杉山暢達氏の著書『証券会社がひた隠す米国債投資法』(ベストセラーズ)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

証券会社がひた隠す米国債投資法

証券会社がひた隠す米国債投資法

杉山 暢達

ベストセラーズ

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