将来の自分を守るために「投資」を学ぶ若者たち
前述のとおり、資産形成の考え方は、日本と海外では大きく違う。日本人はどうしても貯蓄を重視しがちだが、それは、日本では資産形成を「自分の子孫のため」と考える傾向が強かったからかもしれない。それに対して海外では、自分の子のためではなく、自分自身の余生を裕福に送るために資産を築こうという考えが根強い。
しかし、日本人のそういった資産形成に対する意識が、最近になって大きく変わりつつあると実感することが多くなったと語るのは、不動産投資のプロフェッショナル集団であるAZESTグループCEOの清水嘉夫だ。特に若い世代の人たちに、投資について積極的に学ぼうという姿勢が顕著に見られると言うのだ。
「以前は、不動産投資の顧客といえば圧倒的に富裕層が多かったのですが、いまは若い人が多くなっています。客層だけでなく、不動産投資に対するお客様の考え方自体も大きく変わってきましたね」
清水によると、50代以上の世代は「コツコツためていこう」という考えを持つ人が非常に多いのだという。おそらく、その世代の場合、働けば働いただけ返ってくるものがあり、年齢とともに収入も上がるという実感があったからだろう。
だが、高度成長が見込めない、いまの世の中を生きる若者世代は、将来的に確実に収入が上がっていくという実感を持つことはできない。だからこそ、投資に対して積極的になり、自己防衛を図ろうとするのだ。いまは、「将来の自分」を「いまの自分」が守るしかない時代である。そういう時代の若者が、「元気なうちに、将来のために投資をしよう」と考えるのは、いわば当然のことだ。
低金利・自己資金なしで不動産投資が始められる時代に
また、むかしに比べて金利が安いことも、若い世代のあいだで不動産投資が注目を集める大きな要因となっている。
不動産を購入する場合、かつては最低でも購入額の1割を頭金として出すのがあたりまえだった。ローンで借りられるのは購入額の8割~9割までが限界だったからだ。実際には自己資金を2割~3割ほど入れて購入する人がほとんどで、しかも金利も年率6%~8%と、いまよりもずっと高かった。
しかし世の中は変わり、いまは自己資金なしでも不動産が買える時代になった。購入額の100%をローンで、しかも金利は年率1%~2%台前半で、借りることができるようになった。こうした時代背景も手伝って、不動産投資は富裕層だけのものではなくなってきたのだ。
清水は、こうも言う。
「20代のうちにローンで投資用マンションを購入し、家賃収入で少しずつローンを返済していけば、40代になったころには残債はほとんどなくなり、その後はプラス収入しかないという状況をつくることができます。そういう物件を2つか3つ持っていれば、なにもしなくても月々15万円ぐらいの収入が見込めるわけです。最近は、そういう堅実な人生計画を立てる若者が多くなりました」
それだけ、年金に頼れないことを承知している若者が多いということなのだろう。そういった意味では、まさにいまこそ、若い人も不動産投資を始めるのに良い機会だと言えるのかもしれない。