今回は、「年金のみ」では生活できない定年後の生活費のリアルな現実について見ていきます。※本連載では、多数の著作を持つ評論家・パーソナリティとして知られる鶴蒔靖夫氏の著書、『信頼が絆を生む不動産投資』(IN通信社)から一部を抜粋し、年金制度や貯蓄などさまざま問題と合わせ、日本のこれからの不動産市場について見ていきます。

これからの時代、年金だけの生活するのは不可能

これからの時代、自分の将来の生活を国に頼るだけでは、高齢になって自己破産してしまう可能性もあることを忘れてはいけない。実際に自己破産をした人を年齢別に見てみると、最も多いのは働き盛りの40代であるが、ここ数年で60代、70代の破産者がじわじわと増えている(日本弁護士連合会「2014年破産事件及び個人再生事件記録調査」)。

 

これからの時代は、年金だけで生活しようということ自体がすでに不可能だと考えたほうがいい。厚生労働省年金局が発表した「平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、2015年度の国民年金受給者の平均年金月額は5万5244円、厚生年金保険受給者の平均年金月額は14万7872円となっている。65歳を過ぎたころには、おそらく住宅ローンや教育費は払い終えているだろうが、医療費や住宅のリフォームなどでお金が必要になることもあるだろう。それらがなくても、月に5万5000円程度の国民年金では、そもそも生活していけるとは思えない。

資産を運用することが、安心かつ確実な手段

やはり、老後の安心を確かなものにするためには、年金以外の所得を得る手段を、どうにかして持つしかないのだ。

 

では、そのために考えられる手段には、どのようなものがあるだろうか。まず考えられるのは、60歳で定年を迎えたあとも働くという手段だ。内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、就労を希望する高齢者は約7割で、そのうちの3割近くは「働けるうちはいつまでも」働きたいと望んでいるという。

 

60歳定年企業における定年到達者の状況を見てみると、2015年6月1日時点では、過去1年間の定年到達者のうちの82.1%が継続雇用されている。ただし、賃金は定年前に比べて下がってしまう場合がほとんどのようだ。雇用形態に関しても、会社役員などを除く高齢者の場合、非正規の職員・従業員の比率が60歳を境に急上昇している。なお、希望者全員が65歳以上まで働ける企業は、従業員数が31人以上の企業約15万社のうち約11万社となっている。

 

いずれにしろ、運よく定年退職後に働けたとしても、現役時代と同等の収入を得ることは難しいし、体力や健康状態を鑑みれば、いつまで働き続けられるかもわからない。

 

節約して支出を減らすという手段も、選択肢のひとつではある。日々の生活を切り詰めるだけではなく、「住宅ローンを定年前に払い終えておく」「不要な保険を解約する」といったことも検討すれば、ある程度は定年後の支出を抑えることは可能だろう。とはいえ、いくら節約しても、それだけでは心もとない。

 

より安心かつ確実な手段はやはり、現役時代から老後のために資産を貯蓄し、運用することだ。とはいえ、現在は預貯金の金利が限りなくゼロに近い状態のため、銀行に預けても、なかなかお金は増えないのが現実だ。だからこそ、正しい知識を持って、大切な資産をしっかりと運用していくことが重要なのではないだろうか。

 

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信頼が絆を生む不動産投資

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鶴蒔 靖夫

IN通信社

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