定量化しにくい「共感度」も、アンケートで測定可能
母集団形成において、理念への共感が重要であるということを理解している企業もあります。しかし、それが実際に採用現場で行われていないのには理由があります。共感度というものは定量化しにくいものだからです。
説明会などでアンケートを実施している企業は多いですが、アンケートで分かる定性的なフィードバックはほとんど活用されていません。それよりも、人数や男女比、所属大学など、定量化しやすい指標ばかり集計されています。
その結果、「理念への共感度」という要素が抜け落ちてしまい、本当に必要な効果測定ができていないのです。理念採用をしたいのであれば、理念への共感度をきちんと測定できるようにアンケートなども工夫する必要があるでしょう。
ただし、「共感していますか?」と聞くと、答えるほうは回答に難しさを感じるかもしれませんし、理性で判断してしまいがちです。心の正直な声を聞くには、「魅力を感じていますか?」としたほうがよいでしょう。また、魅力的と答えた人が多い項目ほど、効果的な訴求ができていると判断しやすくなります。
[図表]魅力度アンケート
「理念への共感」が低ければ、内定辞退は増加する
これらを計測してみると、おもしろいことが分かります。業種などがバラバラな15社で、新卒内定者が現時点で感じている魅力度を調査してみました。その質問項目は図表4のとおりになります。
どの項目も5段階で評価してもらいます。「例えば、理念や価値観に魅力を感じていますか?」という質問に、5がとても魅力を感じている、1がまったく感じていない、となります。
この調査で分かったのは、内定時点での理念への魅力度が低い場合、辞退する確率がかなり高いということです。理念、戦略、仕事内容の3点への魅力度が高い場合、内定辞退はほとんどありません。しかし一項目でも5以外がある場合は、安心できません。その学生が他にどの企業から内定を受けているか、という企業間の力関係によって辞退もあり得ます。