前回は、内定承諾プロセスを分析する「MOSEALSモデル」開発の背景について紹介しました。今回は、実際の採用現場で「自社にとって優秀な人材」を見抜く方法を紹介します。

経営者や採用担当者が知るべき、応募者の心理変容過程

前回の続きです。

 

●MOSEALSモデル

Meet(出会う)→ Move(心が動く)→ Search(調べる)→ Experience(体験する)→ Action(選考参加)→ Love(ファンになる)→ Share(人に伝える)

 

※商品の場合のActionは購買

 

このモデルはAIDMAやAISASを参考にモデル化しただけでなく、あらゆる分野で応用されている「構造構成主義」の考え方も取り入れています。構造構成主義によれば、人間の心理変容とは「契機→関心→価値→行動」です。 

 

そしてファンを増やすことで売れ続けることができるという、ブランド構築の本質を汲んだ上でモデル化したものです。具体的には、出会いを経て価値を感じてもらうことで、顧客のその企業に対するロイヤリティやブランド連想が高まるということです。そして、最終的にはファンを超えて、自社を「伝える」存在になってくれるのです。

 

経営者や採用担当者に求められるのは、応募者が心理変容していく過程を認識するだけでなく、この心理変容を念頭にどのような施策を繰り出すかということです。つまり、どうすれば最終的に自社を「伝えてもらえる」存在にできるか、という点が大切になります。

 

その具体的な施策の組み合わせが自社にとっての最適な採用フローとなります。例えば、イベントや広告で知ってもらった後に採用ホームページにアクセスしてもらい、説明会に参加し、パンフレットを閲覧してもらってから、選考にまで至る、といった流れです。

 

このような流れを構築することが、質の高い母集団形成に寄与します。

自社の理念の明確化が、質の高い人材を集める理由

では、「質の高い人材」とは何なのでしょうか。それはズバリ、「理念への共感度が高い人材」と定義できます。

 

実際の採用現場では、学歴やスキル、過去の活動を総合的に判断して選考が行われています。そうすることで、優秀な人材を獲得する確率が上がると考えられているためです。

 

しかし、自社の理念に共感していなければ、いくら高学歴でも、結果的にミスマッチになりかねず、活躍人材にはならない可能性が高いのです。

 

なぜなら人は、働く意義ややりがいを求めるものだからです。能力を発揮する、スキルを活かすということだけでなく、「自分は何のために働くのか」ということを考え、実現することも、会社選びの要素として重要なポイントとなります。

 

だからこそ「質の高い母集団形成」を目的とした時に、「優秀な人を探そう」「高学歴な人材を集めよう」と短絡的に考えるのは正しくありません。自社の理念を明確にすることで、その理念を理解し、かつ共感してくれる人を集めることこそが、正しいアプローチとなり得ます。

本連載は、2018年1月16日刊行の書籍『「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング

「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング

深澤 了

幻冬舎メディアコンサルティング

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