家賃回収対策・・・所有者・管理者として示すべき態度とは?

前回は、不動産管理会社の選択基準となる「各種法定点検」実施の有無について説明しました。今回は、家賃の回収において、所有者・管理者として示すべき態度について見ていきます。

「滞納」は空室よりも厄介な問題

不動産投資のリスクのなかで、空室とともに問題になりやすいのが滞納です。滞納する人なんてほんのひと握りではと思われるかもしれませんが、当社の管理物件の場合、滞納が常態化はしていませんが、5%ほどの入居者が家賃の振り込みを期日通りしない傾向にあります。ただ、忘れていたという理由がほとんどのため、連絡を入れればすぐ振り込んでもらえます。

 

一般的には2~3%ほどの入居者が滞納すると言われており、戸数100戸の大規模マンションの場合、2~3人の滞納者が常にいることになります。

 

実はこの滞納問題、空室よりも厄介です。会計上、入居者と賃貸借契約を締結している時点で売上が立ち、家賃を回収できない場合は未収金に計上されます。未収金とは、商品やサービスを提供し、それに対する対価の支払いを受けていない債権のことです。あくまで売上は立っているため、お金を回収していないにもかかわらず帳簿上は利益となります。

 

利益になるということは、その額に対して税が発生するということです。日本には借家人や借地人を保護する目的で作られた借地借家法という法律があるため、実務上立ち退きを要請するにしても3カ月以上の滞納実績がなければなりません。

 

訴訟を起こし、強制執行までもつれ込んだ場合、立ち退きが完了するまでに滞納開始から10カ月ほどはかかります。その期間、本来、得られるはずだった家賃が回収できないうえ、訴訟費用、強制執行代がそれぞれ30万~40万円は必要になりますから、一人の滞納者を退去させるために合計100万近くの費用を負担しなければなりません。

 

さらに家賃が5万円だとすると、10カ月分の50万円が収入とみなされ、課税されてしまうのです。所得税・住民税率が50%の方の場合、約25万円の納税が必要です。家賃は入らず強制退去にはお金がかかり、さらに税金まで支払わなければならない――。滞納は空室より悪質です。

 

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滞納者に「毅然とした対応をする相手」と印象づける

当社が考える家賃回収対策でまず大切なのが第一印象です。収益物件の売買では、家賃が滞納あるいは遅延のまま取引されるケースがしばしばあります。通常、家賃は前払いが基本ですが、当月払いになっている状態を遅延といいます。放置しておくと、本格的な滞納になりやすい予備軍です。

 

売買の交渉のなかで、滞納・遅延の是正を条件にすることもできますが、売主によっては現状のまま引き渡すことを条件にするケースもよくあります。当社が仲介取引で収益物件を売買する際は可能な限り交渉をしますが、売主の意向を買主が了解する場合は滞納・遅延状態のまま取引を進めることになります。

 

このような物件を購入した際に大切なことは、滞納者・遅延者に対して「新しい所有者・管理会社は毅然とした対応をするんだな」と印象づけることです。1カ月程度の滞納や遅延であれば、貸主変更通知書の郵送時や架電(電話をかける)時、そして初月の家賃回収時の対応で、ほぼ正常の支払いサイクルに戻すことができます。

 

一般の入居者は、自分が住んでいるマンションのオーナーが変わることに対して不安を覚えます。とくに滞納・遅延をしている人にとっては、「最悪の場合、追い出されるのではないか」と考えるはずです。この心理を利用し、所有権が変わってからの1~2カ月、滞納・遅延には断固たる態度で臨むのです。そうすれば、大部分の滞納は解消できます。第一印象は思っている以上に大切なのです。

 

そのほか、家賃回収の対策として「家賃保証会社への加入」が考えられます。入居条件として家賃保証会社への加入を必須にするのです。そうすれば、仮に滞納が発生しても保証会社に家賃を立て替えてもらうことができます。それでも滞納が続く場合は、保証会社が入居者に対して立ち退き訴訟を起こしてくれますし、その費用もすべて保証会社の負担となるためオーナーとしては安心でしょう。

 

収益物件をオーナーチェンジで取得した際、家賃保証会社に加入済みの入居者がいる一方で、未加入という方も多く存在します。長く入居している方や、前の管理会社が家賃保証会社加入を条件にしておらず、連帯保証人を付けているケースなどです。このようなケースでは、オーナーが変わったからといって入居者の費用負担で強制的に家賃保証に加入させることは難しいでしょう。

 

当社の取り組みでは、自社内に保証会社の機能を内製化することで督促を強化し、保証会社未加入の方の家賃回収を確実なものにしています。

 

例えば督促1回につき手数料が発生することや、督促にかかった実費を滞納者側が負担する旨を、契約書に記載するのです。そのほかにも、滞納が発生し一定の催告をもっても家賃支払いがなされない場合、賃貸借契約が解除されることを明記することも、入居者側に滞納してはいけないという牽制力を働かせるのに有効です(もちろん、借地借家法があるため強制退去はオーナー側の都合だけでできるわけではありません)。

 

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大和財託株式会社 代表

昭和55年生まれ。三井不動産レジデンシャル株式会社を経て、収益不動産に特化した事業を展開する武蔵コーポレーション株式会社で収益不動産の売買仲介および賃貸管理業務についての実務経験を積む。
平成25年に独立して大阪市内に大和財託株式会社を設立。
収益不動産を通じて、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている。
特に、物件情報をすべて数値化し、資金調達、物件購入、管理運用から売却までを視野に入れた収支シミュレーションに定評がある。
管理物件の平均入居率は98パーセントを誇る。

著者紹介

連載不動産投資成功の法則…「賃貸管理」に特化した不動産会社と組むべき理由

本連載は、2018年3月30日刊行の書籍『改訂版 はじめての不動産投資成功の法則』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 はじめての不動産投資成功の法則

改訂版 はじめての不動産投資成功の法則

藤原 正明

幻冬舎メディアコンサルティング

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