購入後の「問題の顕在化」が最大リスク
前回の続きです。
●物件の詳細を理解しているか
物件の詳細を理解しないまま顧客に紹介している業者もあります。例えば売却理由やレントロールの妥当性、大規模修繕履歴、入居者属性などです。投資家の立場では、本連載で紹介したチェック項目など、不明な点をできる限り詳細に業者に確認してください。
不動産投資は事前にリスクをコントロールできると解説しましたが、そのためには情報開示があることが大前提となります。そういった意味では、物件を検討する際に開示されるべき情報が明らかにならず、購入後に顕在化することは最大リスクと言い換えることができます。
不利となる情報が事前に分かっていれば、購入を見送ったり解決するための金額交渉をしたりと、何らかの対策は可能です。しかし事前に情報が開示されず、所有権移転後に何らかのリスク事項が発覚した場合、売主側に是正措置の対応を求めたり最終的には法的手段に出たりと、賃貸経営をスムーズに運ぶことはできません。
当社が経験した実例では、ある不動産業者の仲介で物件購入後、わずか1カ月で立て続けに3室の退去が発生したケースがありました。レントロールを確認してみると、その退去者は直近1年以内に入居していました。
真相は分かりませんが、前の所有者(不動産業者)が知り合いに頼んで一時的にその物件に入居してもらい満室物件として、所有権移転後に一斉に退去させた可能性も考えられます。
レントロールの詳細(ここでは入居時期や賃貸借契約書の内容など)を確認することで、不自然な点がないか確認をすることはできたはずです。
宅建業法で定められた項目を調査し説明すれば、不動産取引上は売主や仲介業者は義務を果たしていることになりますので、収益物件固有の情報に関しては投資家自らが情報請求する姿勢が求められます。開示されるべき情報を適切に聞き出し、投資判断、条件交渉をすることでリスクを回避できる確率が高まります。
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物件周辺の「土地勘」をもつ業者を選ぶ
●物件周辺の土地勘があるか
最近は、日本全国で融資が受けられる金融機関ができたこともあり、広域で物件を購入できる機会が増えてきました。例えば、首都圏在住の方が、東京の不動産業者の紹介で大阪の物件の取引をするようなケースです。ここでの注意点は、投資家の方やその不動産業者に当該物件周辺の土地勘があるかどうかです。
不動産は、道一つ隔てるだけで地位(土地・地域のランク)が大きく変わることや、賃貸住宅の需給バランス・賃料相場がまったく異なることがよくあります。
そのため、地元の業者や投資家では絶対に手を出さないようなエリアの物件でも、土地勘のない不動産業者が利回りだけを売りに土地勘のない投資家に販売していることが往々にあるのです。そして購入後の入居付けに苦労したときにはじめて購入してはいけないエリアであった、高値掴みしてしまったと気づくことになります。
ですから、業者の土地勘の有無はかなり重要な要素だと言えるでしょう。
この話は次回に続きます。
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