まずは周辺環境や物件の状態の調査を
前回の続きです。
不動産オークションのメリットに触れたところで、少しは興味を持っていただけたでしょうか。
メリットが豊富とはいえ、まだオークションは一般的ではありませんから、実際にどのような流れで進んでいくのかわからない方が大半だと思います。そこで、ここではどのような順序でオークションが進んでいくかを見ていくことにしましょう。
オークションはステップ①から⑦まで設定しています。これを確認すれば、オークションのイメージがしやすくなるとともに、売主として何をすればオークションがスムーズに進むかなどがわかってくるかと思います。重要な部分は後に説明を入れていきます。
ちなみに、不動産オークションをやっている会社は、少ないものの、他にもあります。他社がどのようにやっているのかは分かりませんので、これはあくまで私のやり方であることはご了承ください。
ステップ①不動産売却の依頼
売主から不動産売却の相談や依頼が持ち込まれた時点がスタートです。原則として、どのような物件でもオークションの検討対象として考えます。売主は個人、法人、後見人、保佐人、管財人など誰でもかまいません。
ステップ②不動産の調査
当該の物件がどのような種類の不動産で、どのような立地にあり、周辺の環境がどうであるかなどを調べます。実際に現地に赴いて、当該物件を確認することはもちろん、周辺を歩いて回ったり、気になることがあれば近隣の住人に聞き取りをしたりして情報を集めます。
まず現地調査では、次のような点を確認します。
●騒音、振動、臭気はないか
●境界杭、プレート、鋲等があるか
●越境物がないか(空中での電線、樹木の枝葉の越境も含む)
●近くの上空に高圧線がないか
●敷地の地盤沈下はないか
●敷地が隣地より高いか低いか
●隣地と高低差がある場合、擁壁があるか。また、その擁壁にヒビ、亀裂はないか
●擁壁の高さが2m以上の場合、建築確認を受けているか、がけ条例の要件を充たしているか
●地中障害物(浄化槽、井戸、旧建物基礎等)がないか
●樹木、庭石がないか
●焼却炉、キュービクル、薬品容器および油等による土の変色がないか
●建物の雨漏り、シロアリの害、主要な木部の腐蝕、建物の傾きはないか
●建物の石綿(アスベスト)使用はないか
●建物の基礎、外壁にヒビ、亀裂はないか
●建物に神棚、御札、仏壇、位牌等の残置物はないか
●建物内で犬、猫を飼っていたことはないか
●建物の増改築はないか
以上の確認をチェックリストで行います。現地確認は、犯罪捜査で現場百遍という言葉があるように、回数が多いほうがベターです。1回目の現地確認では気づかなかったことに2回目、3回目で気づくことも多くあります。また、前回の現地確認が朝なら次回は昼や夕方などに時間を変えます。朝は静かでも夕方に騒音があるということもあるからです。さらに、複数人で現地確認を行います。1人では気づかないことを、別の誰かが気づいてくれる可能性が高まるためです。
公法上の規制の確認など、客観的な調査が行われる
次に、物件が所在している地方公共団体に行って、次のような公法上の規制等を調べます。
●用途地域(都市計画法により、地域における建物の用途に一定の制限を行う地域。たとえば第一種住居地域、商業地域等)
●建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)
●容積率(敷地面積に対する建築延べ面積(延べ床)の割合)
●都市計画道路、公園等の都市施設の有無
●土地区画整理事業の有無
●接面道路の建築基準法、道路法上の種別、幅員
●建物建築確認、検査済証交付の有無
●土壌汚染対策法、土壌汚染対策に関する条例による区域指定等
●水害実績、ハザードマップ
●周知の埋蔵文化財包蔵地
●上下水道配管図
●各公共団体の中高層・ワンルームマンション規制条例、指導要綱 等々
これらの客観的な調査によって、物件がオークション売却に向いているか、売却するうえでの問題が潜んでいないかなどをチェックすることになります。
また、売却価格の目安については取引事例をベースに試算します。私たちは、価格査定では費用を一切とりません。