入札申込書の開封は、必ず「売主立会い」で行われる
相対取引のデメリットとして「不透明性」があります。裏で宅建業者の恣意が働く場合があり、売主も買主も「これが適正価格だったのか」とモヤモヤした気持ちを残しがちです。
それに対してオークションでは、「完全な透明性」を担保しています。入札申込書は郵送または持参のみで、厳封されたものしか受け付けません。ちなみに、入札に積極的な業者はたいてい持参します。郵送だと何らかのトラブルで期日に間に合わない可能性もあるため、確実に届けるために直接持ってくるのです。
開封は売主立会いのもとで行います。そうすることで、誰かが勝手に開封して金額を書き換えたり、順位操作をしたりといった不正行為がなくなります。
売主・買主双方にとって公明正大な「オークション」
前回、仲介業者3社で競争になったエピソードを紹介しましたが、なぜ3社で戦うことになったかというと、相続問題が絡んでいました。複数の相続人で1つの不動産を相続したのですが、いざ売却しようとなったとき、それぞれの相続人が仲介業者に依頼しており、どこと話を進めるかで対立したのです。それならオークションで一番高く売ってくれる宅建業者にしようということで、3社対決のような事態になりました。
このケースでは相続人全員が立ち会っている場で、開封しました。目の前で数字が読み上げられていくわけですから、これ以上、公明正大なことはありません。すべての入札金額が可視化されたことで、他の相続人たちが疑心暗鬼になったり、難癖をつけてきたりする余地はありません。
こんなふうに、公明正大であることはトラブル回避につながります。売主にとっては、確実に一番高く買ってくれる相手と契約することができます。買主にとっては、正々堂々と競うことができます。入札要綱にすべての売却条件が明確に示されているので、安心して入札できます。
オークションに関わる全員がwin-winの関係になるために、透明性は大事です。