ハワイ不動産の売却・・・「媒介契約書」のチェックポイント

前回は、ハワイで不動産を売却する際の仲介手数料について解説しました。今回は、ハワイのほとんどのエージェントが利用している契約書フォーマットを例に、「媒介契約書」のチェックポイントを見ていきます。

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選定したエージェントと交わす「媒介契約書」

前回に引き続き、ハワイ不動産の売却プロセスを解説します。

 

第26回から第28回までに、

 

①現地エージェント選定

②売却価格

③仲介手数料率

 

が決まりました。いよいよ今回は、マーケットに出すための媒介契約書について見ていきましょう。

 

この合意した内容を、で選定したエージェントと書面上で契約を交わさなければなりません。

 

「Honolulu Association of REALTORS(ホノルル不動産協会)」では、売買契約書同様に、媒介契約書についても標準の雛形を用意しているので、どのエージェントに依頼をしても基本的にこのフォーマットを使用して契約を締結します。

 

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下記図表が、ハワイでほぼ全てのエージェントが利用している契約書フォーマットです。契約の際に必要となる、基本的なポイントを確認していきましょう。

 

「両手仲介」の場合、売り手・買い手双方の同意が必要

Section Aは、重要な合意事項を記載する欄が多くなっています。

 

①A-1:AGENCY – 代理人

 

ここでエージェントの立場を明確にします。

 

買い主エージェントは買い主の利益のために、売り主エージェントは売り主の利益の最大化を義務づけられます。

 

基本的にハワイでは、日本でいうところの「両手仲介(Dual Agency)」のケースはまれです。ただし、両手仲介は理論的にも実務的にももちろんあり得ます。売り主として両手仲介を認める場合は、あらかじめ「両手仲介を認める」というところにチェックを入れておきます。実際に両手仲介になる場合には、別途の書類で両手仲介である旨を売り主と買い主に開示し、双方からの同意を得る必要があります。

 

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②A-3:EXCLUSIVE RIGHT TO SELL – 専属専任契約

 

専属専任媒介になる旨の条項です。専属専任契約を締結することによって、仲介業者は当物件の販売を専属で行うことになり、全ての購入検討者は仲介業者を通さなければなりません。

 

③A-4:LISTING PERIOD – 媒介契約期間

 

媒介契約期間を決める条項になります。物件にもよりますが、一般的には1年契約をするケースが多いようです。

 

④A-6:LISTING PRICE – 売却希望価格

 

第27回で決めた売却希望価格を記載します。

 

⑤A-7:CONPENSATION TO BROKERAGR FIRM - 仲介会社への報酬

 

第28回で決めた仲介手数料率を記載します。

 

なお、報酬支払の要件としていくつか注意書きもあります。純粋に売買契約が成立した際には、下記のケースでも報酬の支払いが発生するので事前に理解しておく必要があります。

 

●仲介業者が売り主の売却希望条件を満たす買い主を見つけてきたにも関わらず、売り主が拒否した場合

 

●売り主が合意できる売却条件を提示する、仲介業者が見つけた買い主との売買契約書を締結後に売り主の債務不履行が発生した場合

 

③A-4で合意した契約期間内にも関わらず売り主が一方的に契約を破棄した場合


上記のように、契約期間内に売り主側から一方的な契約破棄をすると、報酬の支払いが発生します。売り主の単独の裁量で「やっぱり売るのやめた」ということができないようになっているので、しっかりと検討の上、契約をしましょう。

 

⑥A-8:PROTECTION PERIOD – 保護期間

 

売却活動を行うにあたり、③A-4で合意した媒介契約期間内に買い主が決まらないこともあり得ます。特に、契約期間の後半で案内をしたりすると、買い主が検討中に媒介契約期間が終了してしまう可能性も十分にあり得ます。その場合、仲介業者はその購入検討者の名前をリスト化して開示し、一定期間内であれば引き続き仲介手数料を受領する権利を定めた条項になります。

 

その一定期間を何日間にするか、ということは交渉ごとになりますが、一般的には60~90日前後で設定することが多いかと思います。

 

⑦A-9:CONPENSATION TO COOPERATING BROKERAGR FIRM - 買い主側仲介業者への報酬

 

こちらは前回お伝えしたハワイの仲介手数料の支払の仕組みに該当するところですが、売り主が負担する仲介手数料から、買い主側仲介業者への仲介手数料の支払が行なわれます。その買い主側へ支払うパーセンテージをここに明記します。一般的に6.0%の仲介手数料であれば3.0%を、5.0%であれば2.5%を買い主側エージェントに支払うこととなります。なお、この報酬パーセンテージはMLS上に掲載されるので、買い主側エージェントは仲介をするにあたりこの点を重要視しています。

 

ここまでが案件毎に条件を合意していく必要がある点になります。ここから先は、不動産の売却に際して、Honolulu Association of REALTORSが示している基本的な行動指針となるので割愛しますが、仲介業者も売り主も、売却に向けて双方の協力が必要になります。その際の考え方の土台を提供しているので、ご興味あればご一読下さい。

 

さあ、いよいよこれで自身の物件をマーケットに出すための準備が整いました。あとはMLSに登録して、買い手を付けることになります。

 

次回からは買い手からのオファーを受ける、とはどういうことか、その際の交渉事について見ていきたいと思います。

 

 

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    株式会社Crossover International 代表取締役

    仙台第一高等学校、法政大学経済学部経済学科卒業。宅地建物取引士。
    2002年より某大手ディベロッパーにて一棟物件、区分所有物件の事業用不動産の販売を手掛け、2005年より中古不動産のバリューアップに特化した不動産会社の創業・ブランディング構築に携わる。2008年より株式会社Seven Signatures Internationalにおいて、主に米国ハワイのホテルレジデンス・ラグジュアリーコンドミニアムプロジェクトの日本の超富裕層マーケティングのセールディレクターに就任。2017年に株式会社Crossover Internationalを設立。

    WEBサイト http://www.crossover-international.com/

    著者紹介

    連載田村仁のホノルル不動産通信

    本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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