ハワイの不動産は日本の富裕層だけではなく、世界の不動産投資家から注目されている。新型コロナ感染拡大はハワイの不動産にどのような影響を与えたのか。本連載では、株式会社Crossover Internationalの代表取締役である田村仁氏が、ハワイ不動産の最新情報や現地で話題のトピックなどを紹介します。

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富裕層の「別荘物件」戸建てとコンドミニアム

前回は下記マッピングの【A】カテゴリーについてお話しさせて頂きましたが、次に【B】のカテゴリーを見ていきましょう。

 

 

こちらの【B】カテゴリーは、基本的には世界各国の富裕層の方々の「別荘物件」カテゴリーになります。エリアとしてはWaikikiを挟んでKahala/Diamond Headエリアの戸建物件と、Ala Moana/Kakaakoエリアのコンドミニアムが該当します。

 

結論からお伝えすると、このカテゴリーの物件については、コロナによって不動産価値への直接的な影響は大きく出ていないと感じられます。というのは、もちろんコロナによってハワイ入りすることが出来なくなった今、別荘として利用すること自体に制限はあるものの、経済的な打撃があったかというとそれは特にないのです。

 

ご自身で利用する・しないに関わらず発生する「固定資産税」「管理費」等の維持コストはコロナによって増えることも減ることもありません。コロナから約半年間はハワイ入りできていない、ということはあるかと思いますが、購入時の資金計画から何かマイナスに転じた、ということはないのです。

 

また、第42回で少しお話しした通り、ライフスタイルの変化により「ハワイの拠点」を求める動きが顕在化している状況もあり、このコロナ禍だからこそこういった物件を求める動きもあるという事実もあります。

 

では実際の売買動向を見ていきましょう。

 

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日本人の皆様もご存じの方が多いのではないかと思われる代表的な物件として下記の5つのプロジェクトについての売買事例を確認してみます。

 

 

期間としては、執筆時点の2020年9月23日を起算日として、
A:過去180日以内の売買事例(2020年3月27日~2020年9月23日)
B:過去180日から360日以内の売買事例(2019年9月29日~2020年3月27日)

を比較してみたいと思いますが、上記のA期間がまさにコロナによってロックダウンが始まり、観光客がハワイに行けなくなった半年間にあたり、B期間がコロナ前の通常の半年間ということになります。

 

■Park Lane Ala Moana

期間A【取引件数:6件 スクエアフィート平均単価:$2,480.26-】

 

期間B【取引件数8件 スクエアフィート平均単価:$2,583.64-】

 

■One Ala Moana

期間A【取引件数:5件 スクエアフィート平均単価:$1,270.80-】

 

期間B【取引件数:6件 スクエアフィート平均単価:$1,399.41-】

 

■Hokua

期間A【取引件数:5件 スクエアフィート平均単価:$1,562.40-】

期間B【取引件数:6件 スクエアフィート平均単価:$1,468.01-】

 

■Waiea-Ward Village-

期間A【取引件数:4件 スクエアフィート平均単価:$1,567.15-】

 

期間B【取引件数:5件 スクエアフィート平均単価:$1,632.79-】

 

■Anaha-Ward Village-

期間A【取引件数:3件 スクエアフィート平均単価:$1,392.62-】

 

 期間B【取引件数:11件 スクエアフィート平均単価:$1,380.50-】

 

 

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上記がコロナ前の半年とコロナ禍の半年の各プロジェクトの売買実績となります。

 

期間が短いためサンプル数が少なく、この情報のみで全てを結論付けることは非常に困難ではありますが、コロナの前後で比較をした際に、これらのコンドミニアムの売買状況としては、皆様が想像しているような極端な変化はない、ということがお分かり頂けるのではないでしょうか。

大幅ディスカウントでの購入は期待できない

まず、価格面でいうと、スクエアフィート平均単価(日本でいうところの坪単価のようなものです)から見ても、A期間とB期間において大きな変化は無く、最も乖離があったところでOne Ala Moanaの10%程度の下落、ということになりますが、Hokuaでは逆に6%程度の上昇となっております。こちらはサンプル数の問題で、一つの取引により数字の変動が大きくなるため、同プロジェクト内のお部屋が同一水準で推移しているということは言えないのですが、変動幅としてはこの程度だとご理解頂いて差し支えないかと思います。

 

取引件数に関しては、それぞれのプロジェクトで、コロナ前と比べると1~2件少なくなっているところはありますが、逆に言うとその程度の差しか生じておりません。もちろん5件から4件になったということは20%の減少となるので、割合的には大きくなるのですが、個別のプロジェクトで見ていくと、そこまで劇的にコロナによる影響が出たな、というようには見えないのではないかと思います。

 

一点、Ward VillageのAnahaに関しては大きく減少している形になりますが、これは昨年末より販売になった「Victoria Place」などのWard Villageの新築物件の販売開始による影響が大きいのではないかと思われます。「Victoria Place(https://www.victoriaplaceward.com/)」や「Koula(https://www.koulawardvillage.com/)」等の新築物件に対する購入ニーズは依然として大きいようで、Ward Villageを検討される方はそちらに流れているということもあります。現状はまだコロナ禍でハワイ入りすることもままならない状況ですので、完成まで時間がある新築物件の方を検討される方が一定数いる、ということですね。

 

このカテゴリーの物件の購入を検討される方は、コロナ禍によって大幅なディスカウント価格で購入できる、というように期待したいお気持ちは分かりますが、価格的には10%程度の交渉が可能かどうか、というレベルが現実的なところとなりそうです。ただし、ハワイ不動産は単価が非常に高額ですので、10%の差も大きな金額となりますので、それはチャンスの一つと言えるかと思います(なお、こちらについては売主様それぞれ、事情が違いますので、個別での交渉が必要不可欠です)。

 

また、既にこういった不動産をご所有で、売却を検討されるという方もいらっしゃるかと思います。現状では、ある程度マーケット価格は形成され、そこから大きく逸脱する価格設定をすることは難しい状況です。

 

また、コロナによって、大きく極端な影響は出ていないものの、影響がゼロというお話ではありません。

 

価格については「下落幅が非常に小さい」とは思いますが、上振れしていく環境ではありません。取引数については、観光業の再開がないうちは「一定数の取引はある」ものの、絶対数としては増えていくことは考えにくいと思われますので、現時点が売却に適した時期か?と問われると、ちょっと考えた方が良いかもしれません。ですが、こちらについても所有を続ける維持コストと、売却価格のバランスを考え、また別途の資金需要等々、個別の状況があると思いますので、まず検討をするにあたり、「売却した場合」「所有を続けた場合」のそれぞれのシミュレーションをしっかりと行ない判断をすることが重要ですね。

 

このカテゴリーについては購入/売却ともに専門家へご相談をすることをお勧めします。

 

 

田村 仁
株式会社Crossover International 代表取締役

 

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