今回は、マイホーム購入時に注意したい「悪徳業者」の見極め方について見ていきます。※本連載では、公認会計士・千日太郎氏の著書、『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、「価格の下がらない物件」の選び方を解説していきます。

不動産会社の営業マンに頼りきる人は多いが・・・

不動産業者がいう「住まい選びのパートナー」はよく聞くキャッチフレーズですが、彼らは私たちの「味方(パートナー)」ではありません、かといって「敵」でもありません。

 

お互いが一定のルールを守りつつ、それぞれ自分の利益を追求する、そんな関係です。利害が一致するところもあれば、相反するところもあります。

 

家を買う場面では不動産会社の営業マンに頼り切る人が多いです。しかも、本人にその自覚はありません。

 

住宅金融支援機構の調査によると、2016年に民間住宅ローンを利用した人の約45%は不動産業者が勧める住宅ローンを利用していたそうです。

 

住宅ローンは、銀行と私たちとの間で結ぶ契約であり、、家の売り手は住宅ローンの契約の当事者ではありません。それなのに、なんだかんだいっても営業マンが勧める住宅ローンを選ぶ人が半数近くいるということです。

 

誰だって失敗したくないのが、一生に一度のマイホームの購入です。二人三脚のパートナーはちゃんと選びましょう。そして、少しでも危ないと思ったら、縁を切るといった心構えでいることが重要です。

「契約を急かす」「時間にルーズ」な営業マンは要注意

例えば、次のような営業マンや不動産会社は要注意です。

 

◆要注意な営業マンの言動

 

●「掘り出し物だから早く決めないと売れちゃいますよ」といって契約を急かす。

●「私に任せておいてください。大船に乗った気持ちで」といって満足な説明をしない。

●物件に関していいことしかいわない。都合の悪いことは「知らない」「わからない」。

●質問に対するレスポンスが遅く、時間や約束にルーズ。自分の非は絶対に認めない。

●妙になれなれしい言葉遣いや態度。明らかに人相が悪い。

●どう見てもヒラの営業マンなのに、「〇長」「リーダー」などの肩書の名刺。

 

悪い営業マンのチェックリストとして、これらのことがあてはまると限りなくクロです。がっちり食い込まれる前に勇気ある撤退をすることが大事です。こうした人たちは、ちょっと気をつけて観察すればすぐにわかります。

 

私のブログに寄せられる相談で、こうした悪徳業者にあたってしまい、契約まで進んでしまう人には、次のような一定の傾向があります。

 

◆悪徳業者にあたっても契約に進んでしまう人の特徴

 

①基本的に性善説に立っている

②疑問に思っても遠慮して聞けない

③「一目ぼれ」でその物件を選んだ

④知ったかぶりをしてしまう

 

つまり、悪い営業マン、不動産会社に引っかかりたくなければ、この真逆をやればいいということです。どういうことか、ひとつずつ説明します。

 

①基本的に性善説に立っている→基本的に「性悪説」に立つ

 

性悪説というのは言葉のアヤで、要するに営業マンはパートナーでも敵でもなく、「対戦相手」という姿勢で臨むことです。彼らがズルをしないようにするために、釘を刺しておくのです。

 

例えば、複数の不動産会社を利用して家を探すのも手です。「仲介業者が多いと面倒ですよ、うちだけにお任せください」などといってくる営業マンもいるかもしれません。同業他社と同時進行でつき合い、比較することで、悪徳業者のおかしな点が浮き彫りになります。つき合う業者が1社だけだと、「他もそうですよ」「それが普通ですよ」といわれたら、ウラの取りようがありません。

 

まともな業者であっても、競争相手がいないということがわかると、自分の利益を最大化しようと考えるのが普通です。

 

②疑問に思っても遠慮して聞けない→疑問に思ったら何でも聞く

 

相手のペースで話が進んでいくと、彼らのボロが出る前に契約が決まってしまいます。

 

ある程度準備をして、いろいろ聞いていくことで、都合の悪いことは「知らない」「わからない」とか、質問に対するレスポンスが遅く時間や約束にルーズ、自分の非は絶対に認めないといった、悪い業者の特徴が浮き彫りになるのです。

 

③「一目ぼれ」でその物件を選んだ→絶対に即決しない

 

「掘り出し物だから早く決めないと売れちゃいますよ」などと急かされても、絶対にハンコを押してはいけません。本当に近隣の相場よりも安く何の欠陥もない「掘り出し物」なら、不動産会社が購入して適正な価格で販売したほうが儲かるからです。

 

そうしないのは、本当は「掘り出し物」ではないからです。つまり、「掘り出し物だ」といった時点で、初心者にしか通用しないバレバレのウソということになるのです。

 

④知ったかぶりをしてしまう→知っていることでもあえて聞く

 

最近はインターネットで検索すれば知りたい情報が手に入るようになっています。でも、不動産に関する知識は、ネットの中途半端な情報だけでは不安です。

 

また、目の前の営業マンが知らないことを適当に話していないかどうかを確認する意味もあります。これは私も会計士として怪しいと思ったときによく使う手です。

少しでも違和感を覚えたら、交渉のテーブルから下りる

相手任せにせず主体的に取引に臨み、冷静さを維持すれば、悪徳業者はすぐに見破れます。違和感を少しでも感じたら、早めに交渉のテーブルから降りて縁を切ることです。ほかにも不動産会社は山ほどありますし、視野を広げればよい物件は必ず見つかります。

 

家を買う「取引相手を選ぶ」ということは、かくも重要なことなのです。タチの悪い会社だと思いながら「でも気に入った物件だから」と目をつぶって契約し、後になって後悔する人は大勢います。契約して手付を払ってから購入をやめる場合は、手付金は返ってきません、もう後の祭りなのです。

本連載は、2018年2月10日刊行の書籍『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』(日本実業出版社)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本

千日 太郎

日本実業出版社

本書では、「家と住宅ローンの専門家」の現役公認会計士である人気ブロガーが、マイホーム、住宅ローンという人生最大の買い物と契約の機会に際し、初心者が百戦錬磨のプロを相手に「家選びとお金」で損をしないためのアドバイ…

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