「言うだけで80万円」の値引きが受けられる!?
不動産の値段を見ていくと、「3980万円」など「80万円」で終わる数字であることに気づくと思います。実は、この数字に意味はありません。特に10万円代の8という数字は「下げてくれ」と交渉すれば、すぐに引いてもらえるようなものです。
あたり前ですが「値下げしてくれ」といってこない人に対しては、そのままの値段で売ります。ということは、「値下げしてくれ」という行為には80万円の価値があるということなのです。「言うだけで80万円」なのです。こんな割りのいい言葉はありません。
さらに、物件のウィークポイントを知り、その弱点を理由に筋を通せば、さらなる値下げを引き出すこともできます。こういう理由からも、物件の調査は大切なのです。
目の前の営業マンが値引きの「起点」に
新築住宅やマンションのモデルルームにいる営業マンは、デベロッパーから物件の販売代行を請負う会社の社員です。つまり値引きの権限はありません。また、中古住宅の場合も、売主との仲介を行う仲介会社の社員ですから、やはり値引きの権限はありません。
しかし、値引きの起点になるのはあくまでも目の前にいる営業マンです。新築住宅やマンションの値引きであれば、モデルルームの営業マンから責任者→デベロッパーへ値引きの稟議書をまわし、デベロッパーの事業部長が決裁のハンコを押して、はじめて実現します。中古住宅の場合は売主が「うん」といって、はじめて実現します。
「顧客に決断させる」のが営業マンの役割
営業マンは百戦錬磨のプロですが、不動産に関する法律や住宅の構造の専門家ではありません。
マイホームの購入には相当の決断力が必要です。下手な営業マンは、物件のいいところのアピールに終始しますが、本当の意味でいい営業マンは顧客の側に立ち、決断に必要なメリット、デメリットを含め、さまざまな情報を提供し、顧客の決断をサポートする立場を取ります。
さまざまな物件がありますが、ちゃんと検討すればするほど、値段相応のレベルで粒がそろっていることがわかってきます。
「高い物件は高いなりの理由がある」「安い物件は安いなりの理由がある」など、なかなか決め手がないという場面では、「あの担当なら信用できる」という商品そのものと関係ない理由で決断することがあります。そして、「決め手がないなら信用できるあの人に……」となるのが営業マン=プロフェッショナルの存在です。
売主との「太いパイプ」を持つ営業マンの見分け方
「値引きの稟議書にハンコを押させる」ために必要なのは、値引きについての最終権限を持っているデベロッパー、または売主との間に太いパイプのある、できる営業マンです。つまり成績優秀な営業マンです。できる営業マンを見分けるポイントは、「①質問に対する回答の的確さ」「②即答できなかった場合のレスポンスの早さ」があるかどうかです。
特に「②レスポンスの早さ」は注目です。質問の中にはデベロッパーや売り主に直接確認しないと答えられないこともあります。こういった反応の早い営業マンはデベロッパーとの間に太いパイプを持っています。「今のこのタイミングなら、いくらまでの値引きならデベロッパーまたは売主が応じそうか?」、それをある程度的確に予想できる人だということです。
営業マンに「値引きの稟議書」を上げさせるテクニック
営業マンは、稟議書を上げる以上は「成果」が必要です。いうまでもなく、それは「成約」です。「この値引きであれば購入する」という約束をする、購入の申込みの必要があるでしょう。
また、申込金として、数万円程度は入れる必要があります。そうでないと、デベロッパーや売主に相手にされません。しかし、まだ後述の「手付金」を払ってはいけません。とにかく交渉事では先にお金を払ったほうが弱くなるからです。
値引き交渉をするときには、こちらの「購入に対する本気度」と「具体的な金額の提示」が必要です。営業マンにもリスクがあります。値引きを承諾したあとに逃げられてしまったら、その後の売主との関係は悪くなります。「軽いノリで交渉しているな」と思われたら成功は難しいでしょう。
そこで、百戦錬磨のプロフェッショナルである営業マンをその気にさせる言葉があります。営業マンのプロフェッショナルとしての仕事を高く評価するのです。彼らのバリューは、顧客が住宅ローンという負債を負いながらも、マイホームを購入するという大きな決断のサポートです。
「あなたのおかげで決断できそうだ。ぜひ買いたい」
「最後にあなたに背中を押してほしい」
ここまでいわれて、値引きの稟議書を上げたくないという営業マンは少ないでしょう。その値引きを通すために、より可能性のある値引き額のラインを提案してきたり、購入動機や経済状態など、少し踏み込んだ質問をしたりしてくれば、こちらのものです。値引きは高い確率で売主に承認されることでしょう。
正直に自己資金を申告すると手付金交渉で不利になる!?
営業マンに値引きに成功しても、まだ終わりではありません。手付金を、不動産会社のいいなりに払ってはいけません。手付金は、不動産の売買契約を結ぶときに必要なお金です。手付金を払うということは、買い手の「ファイナルアンサー」という意味がありますが、実際にはそうではありません。
手付金を入れたあとから「良物件」が出るのがジンクスです。「もういい物件が出るわけない」と思っていても、必ず出てきます。そんなにいい物件でなくても、決めたあとに見る物件、特に広告で見る物件は魅力的に映るものです。
手付金の相場は5~10%ですが、双方合意していればいくら安くてもいいのです。「手付金に入れられる現金がないのです、ボーナスまで待ってもらえませんか?」。これがシンプルにして最善の交渉トークです。
最初にアンケートを書く際に「自己資金」を書く欄がありますが、そこは空欄にしておきます。これは営業マンには隠しておくべき「手の内」です。彼らは対戦相手であり、味方ではないのです。銀行の審査項目になる預金の情報は「個人情報」なので、相手には知られません。頭金ゼロのフルローンで事前審査を通しておけば、手付金交渉を有利に運ぶことができるでしょう。