今回は、「立地適正化計画」の概要について見ていきます。※本連載では、公認会計士・千日太郎氏の著書、『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、「価格の下がらない物件」の選び方を解説していきます。

「居住誘導区域に属するかどうか」で地価が変わる!?

「これから買うマイホームの資産価値(地価)が今後どうなるの?」ということに疑問を抱く人は多いと思います。じつは、少なくとも確実に下がるであろう地域が存在します。その理由は、国土交通省が平成26年8月に施行した「改正都市再生特別措置法」に基づく「立地適正化計画」があるからです。

 

多くの地方都市は、高度成長期に拡大路線をとって膨張してきました。今後、地方都市では高齢化が進んで福祉や医療費の増加は避けられませんが、働き手になる若年層の人口は減少していきます。しかし、それでは効率が悪いと、これをコンパクト化して効率化しようというのが、この立地適正化計画の狙いです。

 

下記の図表の中にある丸囲みの部分外の居住区域を「立地適正化計画区域」に指定して、「居住誘導区域」にギュッと凝縮しようという計画です。

 

◆立地適正化計画=コンパクトシティ・プラス・ネットワーク(国土交通省のパンフレットより)

●居住誘導区域に緩やかに住民の居住エリアを誘導していく。

●都市機能誘導区域に医療、福祉、商業施設を誘導していく。

●拠点間を結ぶ交通サービスを充実させる。

 

居住誘導区域外のエリアは価値が下がる

 

つまり、下記図表の中にある丸囲みの部分外の地域は、今後取り残される運命にあるということです。これから購入しようとしている家が居住誘導区域に入っているか、そうでないかは、宅地建物取引業法で説明が義務づけられる重要事項ではないので、不動産会社からの説明はありません。つまり、自分で調べない限りは知らないままです。

 

[図表]「立地適正化計画」のイメージ図

 

知らずに居住誘導区域外の地域にマイホームを購入してしまったら、どうなるでしょうか? ローンが終わるまでの20〜30年はそこに住み続けることになり、マイホームを買ったときには近くにあったはずの市立病院はなくなり、バスの停留所もなくなり……という状態になっていくのです。

 

購入予定の地域の自治体のホームページを必ずチェックしよう

 

平成29年7月31日現在、立地適正化計画の作成について具体的な取り組みを行っている357都市があります。このうち112都市がすでに計画を作成、公表しています。

 

これはあくまで執筆時点の情報なので、最新の情報は国土交通省のホームページから直接確認するようにしてください。これから購入しようとしている地域が取り組みを行っている場合は、必ず市町村のホームページを確認して居住誘導区域をチェックしておきましょう。

今の利便性が平均以上なら居住誘導区域となる可能性も

少子高齢化の今、ほとんどの都市で人口は減少傾向になっています。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、一部の人気都市でも人口増加が続くのは2025年までで、その後は減少傾向になるだろうと予測されています。つまり、どんなに人気のある都市でも、将来的にはこうした選択と集中が必要になってくるのです。

 

すでに計画に取り組み中の自治体では、駅や幹線道路から徒歩圏内、大型商業施設周辺など、都市化したエリアを居住誘導区域に指定する傾向があります。

 

つまり、現時点でもその地区内で平均以上に利便性のよいエリアは、居住誘導区域になると推定できます。

 

これからマイホームを探すにあたって絶対に考慮しておくべきポイントのひとつでしょう。

本連載は、2018年2月10日刊行の書籍『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』(日本実業出版社)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本

千日 太郎

日本実業出版社

本書では、「家と住宅ローンの専門家」の現役公認会計士である人気ブロガーが、マイホーム、住宅ローンという人生最大の買い物と契約の機会に際し、初心者が百戦錬磨のプロを相手に「家選びとお金」で損をしないためのアドバイ…

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