前回に引き続き、銀座ハイストリートのリテールマーケットの動向を見ていきます。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

ラグジュアリーブランドの出店ニーズは回復の兆し

2018年の消費市場は、これまでみられた株高ならびに堅調な経済成長を背景に、高額品の売上がさらに伸びることが予想される。そのため、2016年下期より弱含んでいたラグジュアリーブランドの出店ニーズが回復する可能性があり、実際その兆しもみられはじめた。


11月には、銀座のハイストリートに既存店があるラグジュアリーブランドが、さらなる好立地への移転を決定する事例がみられた。その移転元のスペースについても、未だ日本に路面店舗がないラグジュアリーブランドが出店を検討している。今後もハイストリートの好立地で募集が出れば、ラグジュアリーブランドの出店ニーズが顕在化するだろう。

オーナーによるテナントの選別が出店数に影響するか

訪日外国人の消費額も、さらなる伸びが期待される。2017年の訪日外国人数は1月から10月までで前年同期比18%増の2,011万人。通年では、昨年2016年の2403万9千人を16%以上上回って2,800万人を超える可能性がある(11月末時点)。2017年7-9月期の訪日外国人消費額(速報)は前年同期比26.7%増の1兆2305億円で過去最高を記録。

 

また、2015年以降は弱含みで推移した訪日外国人1人あたりの旅行支出も、2016年10-12月期の14.7万円を底に上昇傾向にある。直近2017年7-9月期は16.5万円で対前年同期比6.6%増となった。


日本の医薬品や化粧品を嗜好するインバウンド需要に支えられ、主要リテールエリアにおいてはドラッグストアの出店が加速した。今後もドラッグストアの出店意欲は高いと予想される。ただし、銀座エリアのハイストリートから少し中に入ったエリアでは、ドラッグストア同士が競合する状況ではなくなっている。既に同エリアでドラッグストアの出店が進んだことや、訪日外国人の買いもの動線が、観光バスの発着する「ギンザシックス」を基点とする動線に変化したことで、店舗の採算性が不安視されたためだ。

 

今後は、新たな買いもの動線上のハイストリートに出店ニーズが集中するだろう。とは言え、銀座ハイストリートに物件を持つ多くのオーナーは、テナントの受け入れ業種を限定しているのも事実だ。そのため、ニーズがあっても実際の出店はさほど伸びない可能性もある。


インバウンド需要を取り込み、百貨店でも売り上げが好調な化粧品ブランドの中には、路面店舗を出店しようとするものもある。訪日外国人のニーズが、大量購入からメイクのアドバイスや美容体験へと拡大しており、従来よりも広い接客スペースが必要となっているためだ。特に高額な化粧品ブランドを中心に、路面店舗を探している事例が複数みられている。

 

[図表1]訪日外国人数の実績値と推定値

 

[図表2]訪日外国人1人あたりの旅行支出

出所:日本政府観光局(JNTO)、Datastream、CBRE、2017年11月
出所:日本政府観光局(JNTO)、Datastream、CBRE、2017年11月

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