前回は、介護施設の運営に大きく影響する「介護職員不足」について取り上げました。今回は、介護職員が不足する根本的な原因を見ていきます。

「ネガティブなイメージ」も人材不足の原因に!?

増える需要に対し、介護人材は不足し続けています。ネガティブなイメージが、介護職を目指す人を遠ざけているのです。

 

介護の仕事は、一般的に「きつい」「大変」だという印象を持たれています。「社会的に意義のある仕事」や「やりがいのある仕事」というポジティブなイメージを持つ人は多いものの、同時に、「体力勝負の“きつい”仕事」「排泄介助など“汚い”仕事」「腰を痛める、集団感染するなど“危険”な仕事」というネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。

 

 

実際の現場に目を向けてみると、「職場の人間関係」が大きな問題になっていたりもします。「介護労働実態調査」によると、仕事を辞めた25.4%の人が「職場の人間関係に問題があった」と答えています。

 

介護現場は学校を卒業したばかりの10代から、60代~70代までが活躍する「異文化の融合体」のような場所です。幅広い世代とコミュニケ―ションをとりながら仕事をしていかなければならず、壁にぶち当たってしまうこともあるようです。

 

また、「利用者の立場に立った介護ができると思ったのに、実際はそうではなかった」など「法人の理念のあり方に不満があった」という場合もあります。

人材不足により労働条件が悪化するという「悪循環」

人材不足、職場の人間関係・・・。こうした問題は介護の現場で働く人材にとっても大きな負担となり、さらなる離職を招きます。

 

「介護労働実態調査」(2015年度)によれば、2015年度の介護職員の離職率は16.5%でした。これは、全産業の平均15.0%と比べてそれほど高くはありません。しかし、労働条件等の不満を問われると、50.9%が「人材が足りない」と答えています。

 

近年では、事業所が早期離職防止や職員定着促進のために、給与や福利厚生などの面でさまざまな対策をとっており、働きやすい環境が整えられています。実際、同調査では、65.5%が「今の仕事を続けたい」と回答しています。

 

しかし、根本の問題である人材不足を解消し、職員の負担を軽減させなければ、そうした努力だけでは対処しきれなくなってしまいます。

 

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