今回は、印紙税への疑問や質問について、誰に相談すべきなのかを見ていきます。※本連載は、鳥飼総合法律事務所の代表弁護士である鳥飼重和氏の著書、『法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践』(新日本法規出版)の中から一部を抜粋し、経営者として理解しておきたい印紙税の基礎知識をご紹介します。

法律上は「弁護士」が印紙税の専門家だが・・・

印紙税の税務調査があるとき、あなたは誰に相談しますか。

 

印紙税も税法ですから、一般的な社会常識では、税理士でしょう。しかし、税理士で印紙税に詳しい人は少数です。顧問税理士に聞いても、「わからない」といった返事が多いでしょう。なぜなら印紙税は、法律上、税理士の業務として認められていないからです。

 

法律上、印紙税を業務として認められている専門家は誰なのか。実は、法律上は弁護士が印紙税の専門家なのです。

 

ところが弁護士の中で、印紙税の専門家はほとんどいません。顧問弁護士に聞いても、やはり「わからない」といった返事がほとんどでしょう。弁護士自身、印紙税という税金問題が弁護士業務に含まれるということを知らないからです。

 

また、会社内にも印紙税の専門家はいないのが通常です。弁護士も、税理士も頼りにならないことが多いため、結局、会社の担当者は、税務署・国税局に聞きに行くことになります。

印紙を貼るか、貼らないか・・・悩ましい場面は相当多い

税務署・国税局の相談窓口では、職員が親切に教えてくれます。丁寧に調べてくれて、「印紙を貼らないでいいですよ」と言ってくれることも多いようです。

 

しかし、文書に印紙を貼るか貼らないかについて悩ましい場面は、相当に多いのです。そのような場合、「こうすれば、印紙を貼らなくてすむようになりますよ」と教えてくれる税務署の窓口の人は、まずいないでしょう。むしろ、「この文書には印紙を貼った方が安全ですね」という回答になる可能性が高いでしよう。

 

これが「されど200円」、「されど印紙税」の問題です。この問題に適切に対処するにはどうしたらいいのでしょうか。本連載でその対処の道筋を示していきます。

法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践

法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践

鳥飼 重和

新日本法規出版

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