今回は、書籍『実務に役立つ 印紙税の考え方と実践』の内容を紹介します。※本連載は、鳥飼総合法律事務所の代表弁護士である鳥飼重和氏の著書、『法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践』(新日本法規出版)の中から一部を抜粋し、経営者として理解しておきたい印紙税の基礎知識をご紹介します。

「地図」としての課税物件表

(1) 「地図」としての課税物件表

 

ここまでで、印紙税法における課税物件表の見方について、おわかりいただけたと思います。

 

今回は、本書籍『法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践』の内容をより詳しく紹介します。

 

第2章から第5章では、これまでの課税物件表の説明で現れた項目について、深く掘り下げていきます。そのため、課税物件表が第2章から第5章で学ぶ項目を示す、いわば「地図」の役割を果たしています。下の図を見てください。

 

 

印紙税の課税に関しては、常に、課税物件表の欄を中心に据えて判断をしていきます。そのため、印紙税の判断で必要となる知識の多くは、この第2章から第5章に集中していますし、本書がこの順番で説明をしていくのはそのためです。

 

その上で、第6章では、第5章までの「知識」を実務で使える「知恵」にまで高めるため、事例を交えた検討を行っていきます。本書を読み終える頃には、印紙税について一本筋の通った思考方法が身に付いていることでしょう。それ以外の知識については、第7章から第8章にかけて説明をしていきます。

 

(2) 本書で説明する文書

 

課税物件表によれば、課税対象となる文書は、第1号文書から第20号文書まであります。しかし、第2章以下では、第1号文書、第2号文書、第7号文書、第17号文書の説明を中心に行います。その理由は2つあります。

 

1つ目の理由は、実務上の観点からの理由です。第1号文書から第20号文書までで、実社会で利用される頻度が高いのがこれら4つの文書なのです。つまり、それだけ印紙税の実務上も問題になることが多いということです。したがって、実務上は、これら4つの文書の課否判断に習熟すれば十分だといえます。

 

2つ目の理由は、教育上の観点からの理由です。第1号文書から第20号文書という20種類もの文書について、広く浅く取り上げても、課否判断の正確性、迅速性を身に付けることはできません。むしろ、実務上、重要な4つの文書について、事例を交えながら、狭く深く取り上げることで、課否判断の正確性、迅速性を身に付けることができます。

 

以上の2つの理由から、第2章以下では、第1号文書、第2号文書、第7号文書、第17号文書の説明を中心に行います。

 

※詳しくは、本書籍をご覧ください。

なぜ「印紙税」は誕生したのか?

印紙税が最初に創設されたのは、今から約400年前の1624年です。オランダがスペインとの間で長期間の戦争をしていた際、戦費調達のために創設されました。1905年に、日本で相続税が創設されたのも日露戦争の戦費調達のためでした。このように戦費調達を目的として、新しい税制が創られることはよくあります。

 

今では、印紙税は、アメリカ、イギリス、フランスなど、世界の多くの国で制定されています。日本で印紙税が採用されたのは1873年で、発足して間もない明治政府の財政確保が目的でした。

法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践

法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践

鳥飼 重和

新日本法規出版

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