前回に引き続き、印紙税の課税対象を規定した「課税物件表」の見方を探ります。今回は、物件名、定義の欄について詳しく説明します。※本連載は、鳥飼総合法律事務所の代表弁護士である鳥飼重和氏の著書、『法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践』(新日本法規出版)の中から一部を抜粋し、経営者として理解しておきたい印紙税の基礎知識をご紹介します。

物件名の欄で「具体的な文書名」が明らかに

前回の続きです。

 

(2) 「物件名」の欄

 

「課税物件」の欄の下の左側にある「物件名」の欄を見てください。そこに、以下のような事項が書かれています。

 

 

「1 不動産・・・の譲渡に関する契約書」

「2 地上権・・・譲渡に関する契約書」

 

これが物件名で、具体的な文書名を明らかにしています。例えば、前者は、「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書」であり、これを 「第1号の1文書」といいます。

 

また、後者は、「地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」であり、これを「第1号の2文書」といいます。同様に、「消費貸借に関する契約書」を「第1号の3文書」といい、「運送に関する契約書 (用船契約書を含む。)」を、「第1号の4文書」といいます。第2号文書以下についても同様です。

課税される文書の範囲を広げるor狭くする「定義」の欄

(3) 「定義」の欄

 

「課税物件」の欄の下の右側にある「定義」の欄を見てください。この「定義」の欄は、課税される文書の範囲を広げたり、逆に、その範囲を狭くしたりしています。

 

 

例えば、「定義」の欄の 「1」を見てください。ここでは、「不動産」の定義で、以下のように、不動産の概念を広げて、課税される文書の対象を広げています。

 

i)法律の規定により不動産とみなされるものを含む

ⅱ)鉄道財団、軌道財団及び自動車交通事業財団を含む

 

次に、「定義」の欄の 「3」を見てください。「運送に関する契約書」の定義で、以下のように、運送に関する契約書の概念を狭くして、課税される文書の対象を狭くしています。「乗車券、乗船券、航空券及び運送状を含まないものとする」

 

この話は次回に続きます。

法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践

法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践

鳥飼 重和

新日本法規出版

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