今回は、印紙税の課税対象となる「課税文書」とは何かを説明します。※本連載は、鳥飼総合法律事務所の代表弁護士である鳥飼重和氏の著書、『法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践』(新日本法規出版)の中から一部を抜粋し、経営者として理解しておきたい印紙税の基礎知識をご紹介します。
法文の「2つの条件」を満たすと課税文書に該当
Q:課税文書とは
印紙税の課税対象になる文書を「課税文書」といいます。では、「課税文書」とは、どのような文書をいうのでしようか。
法文によれば、「課税文書」とは、「①別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、②第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書」をいいます(印紙税法3条1項)。なお、①と②の番号は、説明のため筆者が加えました。
この規定から課税文書にあたるためには、
①「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書」にあたること
②法律により印紙税を課さないとされる文書(非課税文書)でないこと
が必要であることがわかります。まずは、①から話を進めましよう。
「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書」の概要
Q:別表第一の課税物件の欄に掲げる文書とは
では、①「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書」とは、どのような文書をいうのでしょうか。印紙税法は、別表第一として、下記のような課税物件表を定めています。
以下には、第1号文書と第2号文書の例だけを取り上げます。
[図表]別表第一 課税物件表(第2条関係)
この課税物件表を見てみると、例えば、「不動産...の譲渡に関する契約書」、「消費貸借に関する契約書」、「請負に関する契約書」といった文書が挙げられています。①「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書」とは、こういった文書のことをいいます。
鳥飼総合法律事務所
代表弁護士
中央大学法学部卒業。税理士事務所勤務後、司法試験に合格。企業の持続的成長という全体的な視点から、経営・税務を中核にし、法務を統合したビジネスモデルの構想を主唱しております。
2013年に日本経済新聞社が調査した「企業が選ぶ弁護士ランキング」で、企業票及び企業票・弁護士票の両方で、「税務部門」1位になりました。
2016年の調査では、企業票・弁護士票の総合ランキングでは税務部門で1位。企業票では税務部門で2位となりました。
日本経営税務法務研究会会長として、2013年10月から、納税者の視点から法律に基づく適正な税務調査の実現による税務実務全体の改革を目指した税理士・弁護士対象の「税務調査士」資格認定を開始。第1期から第5期までの参加者は440名を超えました。
最近のテーマは、「戦わずして勝つ、戦っても勝つ」という経営戦略として、法律を活用することを提言しています。
(職務)
●現鳥飼総合法律事務所代表弁護士 ●現日本経営税務法務研究会会長 ●現日本IR学会理事 ●現NPO法人ゲーミング法制協議会副理事長 ●元内部統制研究学会会長
●元日本税理士会連合会顧問
事務所URL
株式会社 日本経営税務法務研究会(http://www.nikkeizei.co.jp/)
鳥飼総合法律事務所(http://www.torikai.gr.jp/)
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載200円の印紙税が会社の売上4億円を無駄にする!? 「印紙税」の基礎知識