前回に引き続き、印紙税の課税対象を規定した「課税物件表」の見方を探ります。今回は、「課税標準及び税率」の欄について詳しく見ていきましょう。※本連載は、鳥飼総合法律事務所の代表弁護士である鳥飼重和氏の著書、『法的思考が身に付く 実務に役立つ 印紙税の考え方と実践』(新日本法規出版)の中から一部を抜粋し、経営者として理解しておきたい印紙税の基礎知識をご紹介します。
「課税標準及び税率」の欄で印紙税額を算定
前回の続きです。
(5) 「課税標準及び税率」の欄
「課税物件」の欄の右側の「課税標準及び税率」の欄を見てください。
この欄から印紙税額を算定することになります。ここでも、第1号の3文書を例にして、2つの具体例で、印紙税額の算定をしてみましょう。
C) 貸付金額が400万円の消費貸借に関する契約書の場合
貸付金額が400万円の消費貸借に関する契約書は、「100万円を超え500万円以下のもの」に該当します。その場合の税率は、1通につき、「2千円」です。したがって、印紙税額は2,000円となります。
D) 貸付金額が5,000万円の消費貸借に関する契約書の場合
貸付金額が5,000万円の消費貸借に関する契約書は、「1千万円を超え5千万円以下のもの」に該当します。その場合の税率は、1通につき、「2万円」です。したがって、印紙税額は2万円となります。
課税要件に1つずつ事実を当てはめ、税額を算定
(6)課税要件と税額の関係
ここまで取り上げてきた、「課税物件」、「課税標準及び税率」を、税法の世界では、「課税要件」といいます。課税要件に1つずつ事実を当てはめることで、税額を算定することができます。
鳥飼総合法律事務所
代表弁護士
中央大学法学部卒業。税理士事務所勤務後、司法試験に合格。企業の持続的成長という全体的な視点から、経営・税務を中核にし、法務を統合したビジネスモデルの構想を主唱しております。
2013年に日本経済新聞社が調査した「企業が選ぶ弁護士ランキング」で、企業票及び企業票・弁護士票の両方で、「税務部門」1位になりました。
2016年の調査では、企業票・弁護士票の総合ランキングでは税務部門で1位。企業票では税務部門で2位となりました。
日本経営税務法務研究会会長として、2013年10月から、納税者の視点から法律に基づく適正な税務調査の実現による税務実務全体の改革を目指した税理士・弁護士対象の「税務調査士」資格認定を開始。第1期から第5期までの参加者は440名を超えました。
最近のテーマは、「戦わずして勝つ、戦っても勝つ」という経営戦略として、法律を活用することを提言しています。
(職務)
●現鳥飼総合法律事務所代表弁護士 ●現日本経営税務法務研究会会長 ●現日本IR学会理事 ●現NPO法人ゲーミング法制協議会副理事長 ●元内部統制研究学会会長
●元日本税理士会連合会顧問
事務所URL
株式会社 日本経営税務法務研究会(http://www.nikkeizei.co.jp/)
鳥飼総合法律事務所(http://www.torikai.gr.jp/)
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