前回は、地方の収益物件の「運営・売却」における注意点を解説しました。今回は、耐用年数を超える築古の木造物件の売却の可能性について見ていきます。

4年で償却可能な「築古物件」を求める投資家も存在

Q:木造の築古物件はどうすればスムーズに売却できる?

 

耐用年数を超えているような築古の木造物件の場合、減価償却を取った後にスムーズに売却できるのでしょうか? 築23年の物件も4年後には築27年です。銀行の融資もさらに付きにくくなるでしょうし、古すぎて次に買う人がいるのか心配です。

 

 

A:減価償却を目的とした高所得者層の需要を狙えば売れる

 

書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』では効率的に減価償却が取れる築年数の古い築古木造物件をおすすめしていますが、出口戦略を考えた場合、売りたいときに売れるのか? という質問がよくあります。物件が古く法定耐用年数をオーバーしているような場合、金融機関の評価が出ないので買主に融資がつかないのではないか、だから売れないのではないかという疑問です。

 

売れるか売れないかという点からいえば、結論としては売れます。

 

もちろん物件にもよりますし、RC造の新しい物件に比べれば融資を受けにくいことも事実なので、買える人の絶対数は少なくなるでしょう。

 

しかし、高所得者のなかには節税のために4年で償却できる古い物件を求めている人も大勢います。もっと言えば、4年で償却できる耐用年数切れの木造物件を求めている投資家は意外と多いのです。

 

[図表]木造の築古物件は4年で償却できるため高所得者層の需要あり

オーダーメイド型の融資を使った高所得者による取得も

さらに、基本的に日本の金融機関は物件よりは属性(経営している会社の状況や資産背景など本人の信用)に重きを置いて融資をしているので、良い属性の人であれば物件が何であれ借り入れができるのです。

 

 

特に高所得者は会社経営者が多くなります。会社経営者はオーダーメイド型の融資を受けられますので物件よりは属性に応じて借り入れが可能なのです。このような耐用年数切れの物件を高所得者がオーダーメイド型の融資を使って取得するケースが多いのが実情です。

 

つまり、絶対数は多くないものの借り入れができる人はいますし、なかには現金で取得する人もいるくらいです。

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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