前回は、不動産に詳しい税理士の必要性について解説しました。今回は、収益物件の売却時にアパートのままの売却と更地での売却のどちらが有利なのかを見ていきます。

一般的には「収益物件のまま」売るのが原則

Q:中古物件として売るか、更地にするかの判断基準は?

 

収益物件の売却にあたって、そのままアパートとしてオーナーチェンジで売るのと、更地にして土地として売るのでは、どちらのほうがよいのでしょうか? 見極める判断基準を教えてください。

 

 

A:収益性と資産性、どちらの価値が高い物件かで判断する

 

一棟ものの収益物件の出口としては、大きく二つの方法があります。収益物件(アパート)を収益物件(アパート)として売るか、もしくは建物を解体して更地にして売るかです。

 

 

どちらがよいかは、その物件の特徴によって判断します。

 

ただし、一般的には収益物件(アパート)のまま売るのが原則です。なぜなら日本においては入居者を退去させることはとても大変なことだからです。よっぽどの事情がない限り収益物件として売ることになります。

 

収益物件としての売り方については先述の通りですのでここでは割愛します。賃料を高くすることと入居率を上げることが大切であると述べました。

賃料収入が少なく土地が広ければ、更地での売却を検討

では、更地にして売ったほうがよい場合はどんなケースでしょうか?

 

これはその物件から上がる賃料収入は少ないのだけれども、土地が広いケースです。図表を見てください。500坪の土地に2階建て4世帯のアパートが立っています。年間の賃料収入は500万円です。土地は坪当たり100万円の場所ですので土地値が5億円となります。

 

収益性が8%で売れる地域だとするとこの物件の価格は6250万円(500万円÷8%)となります。しかし、土地値が5億円ありますので、この物件の価値は5億円になります。ただし、更地であればという条件です。更地であれば、買主は自由にこの土地に自宅を建てたり事務所を建てたり活用できますが、アパートが立っていては何もできません。このような物件は更地として売ったほうが高く売れるということです。

 

 

[図表]更地で売却したほうが高いケース

 

この物件の価値は

物件価格 = 更地価格(土地値) ―  入居者退去費用 ―  建物解体費用

となります。

 

原則は収益物件で売るべきですが、このような例外の場合もあるということで、自分の物件がどちらなのかを理解しなければ、最適な売り方も分からないということです。

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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