好景気でなければ、地方物件は「売れない」
Q:地方の物件は売れる?
地方の物件は東京や首都圏に比べて高利回りですが、実際に購入した場合に運営がスムーズにできるのか、不安があります。また、地方では買える人が限られてしまうので、売却するときにスムーズに売れるかどうかも心配です。
A:好景気時には売れるが不景気時は厳しい
近年、都心部では収益物件の価格が上昇傾向にあり、利回りは大幅に低下しています。平成27年以降はその動きが一段と加速し、収益物件全体の表面利回りは、東京都心部では平均で5%台という水準にまで下落してしまいました。そのため、高利回りの物件を求めて地方都市に目を向ける人も増えているようです。
地方都市の物件も利回りは低下傾向にありますが、東京都心部と比べれば高利回りを維持しており、なかには表面利回りが10%、地方の小規模都市にいたってはまだ20%近くというような物件もあります。
ただし、地方の物件は高利回りである半面、空室のリスクが高くなる(入居率が低い)ことに留意しなければなりません。投資にあたっては、利回り、流動性、そして入居率(空室率)を見極めることが重要です。
[図表1]収益物件の表面利回り推移
収益物件の活用は、基本的には首都圏、地方であれば人口100万人以上(最低でも50万人以上)の大都市圏で行うべきです。なぜなら地方都市の物件は流動性が都心部の物件と比べて大きく落ちるためです。
そのなかでも不景気時は価格の問題ではなく流通しないケースもあります。特に数年前のリーマンショック後や東日本大震災といった超不景気のときは地方物件の流動性は極端に低くなりました。特に3億円以上の高額の物件の動きは極端に鈍くなります。
一方で現在のような好況時は都心部の物件がなく地方に手を伸ばしていきますので、物件の流動性が高まる時期といえます。
たとえば当社の営業エリアである宇都宮市はすでに都心部から買い手が続々と来ていますが、宇都宮市でも物件がなく小山市や佐野市といった地方小規模都市にまで投資家は物件を求めて動いている状況です。
好景気時には物件購入者が増えるのと金融機関からの融資が出やすくなります。
つまり、地方物件は好景気時ではないとそもそも売れないという側面があるということです。もちろん物件の規模等個別の要素は強いのですが、都心部の物件と比べて流動性の問題が大きく影響されます。
地方物件を売るのであれば(もちろん都心部の物件も同じですが)、好景気時に限ります。
[図表2]地方物件は好況期に売る
地元・東京の双方の投資家をターゲットにする
地方物件を売る場合は、地元の投資家と東京の投資家両方にターゲットを絞って売る活動を行うことがポイントです。絶対数でいえば東京の投資家をターゲットにするほうが圧倒的に数は大きくなります。当社のデータベースに登録している投資家層もほぼ東京(首都圏)在住です。
ただし、物件によっては東京の投資家がまったく見向きもしないケースもあります。
先日取引した郡山の物件では、震災の影響もあり、東京の投資家には売れないまま時間が過ぎていました。そこで当社と取引のある地元福島の金融機関に物件を紹介して買い手を探してもらう依頼をしたところ、地元の会社経営者をご紹介いただき取引になりました。地元の方にはよく知られているなじみの場所だったのが決め手になり、また融資もセットで紹介していただいたのでスムーズに取引を行うことができました。
ポイントは東京の投資家だけではなく、地元の投資家に対しても物件の販売活動をするという点です。そのためには、地元の金融機関(地方銀行や信用金庫)が最も情報をもっていますので、その金融機関に直接アプローチしてもよいのですが、その金融機関に強いネットワークを持つ不動産会社を通じて販売を行うのが最も合理的といえます。金融機関は不動産の取引そのものには関わらないためです。