医療・介護従事者の人生を充実させる「自分の居場所」の存在

前回は、医療・介護従事者の「仕事人としての成長」に必要なものについて取り上げました。今回は、医療・介護従事者に配慮してほしい、患者・入居者の「居場所」について考察します。

「居場所」「行く場所」「座る場所」があるか

K先生から教わって今でもスタッフみんなに伝えているのは「人にとって大事なことって何か分かる?」という問いです。

 

それは、自分が住んでいるところ以外に「居場所」「行く場所」「座る場所」があること。先生はそれが社会であり人生なんだと言われました。

 

私はデイケアのことを一生懸命やってきたけれど、デイケアだけが居場所、行く場所、座る場所というのでは寂しい。もっと先を行きたいよね、とスタッフたちにも自分にも問いかけています。

 

ほとんどの人には家があって、家族があって、職場がある。だけどそれだけで幸せなのかというとそうじゃない。ほかにも自分の「居場所」「行く場所」「座る場所」があるかどうか。なぜなら自分は個人で生きてるだけじゃなく「社会」で生きてるからです。

本屋でも、カフェでも、スポーツジムでもかまわない

自分の人生にとっての「居場所」「行く場所」「座る場所」をいつも人間は探しているのかもしれません。患者さん・利用者さんに対しても同じです。スタッフにもよく言います。「君は、自分が関わっている人の居場所、行く場所、座る場所を考えたことあるかい?」

 

ただ入院している人が退院して自宅に帰ることができればいいってことじゃない。その人の人生はそれだけではないはず。もちろん、それをなんとかしろというのではなく「そこを一緒に考えてあげられているか」が大事なんです。

 

もっと言えば、そういう自分自身にとっての「居場所」「行く場所」「座る場所」が家や職場以外にあるのかどうか。ささやかでも、そういう場所をつくってほしい。高尚な場所じゃなくてもいい。本屋さんでもカフェでもスポーツジムでも、何かのサークルでも、なんなら競馬場だってかまわない。

 

家や仕事以外で自分が元気になれたり、何かチャージできるような場所を持っていることは人生にとって大事なことなのですから。きっと、そういうことも知ってる人のほうが仕事での幅も広がるんじゃないかと思うのです。

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    医療法人真正会・社会福祉法人真寿会 理事長

    昭和31年生まれ。帝京大学医学部卒業。埼玉医科大学病院での研修後、医療法人真正会霞ヶ関中央病院に入職。同医局長を経て霞ヶ関南病院病院長に就任。現在に至る。

    主な社会活動として、全国デイ・ケア協会会長、日本リハビリテーション病院・施設協会副会長、埼玉県地域リハビリテーション推進協議会会長。また帝京大学医学部・兵庫県立大学大学院・埼玉県立大学・目白大学等で講師を務める。厚生労働省社会保障審議会介護保険部会臨時委員も歴任。

    これまでの著書に『ケアマネジメントと組織運営』(メヂカルフレンド社)、『主治医意見書のポイント』(社会保険研究所)、『ケアプランの上手な立て方』(日本実業出版)等がある。医師、日本リハ医学会認定臨床医、認知症サポート医、社会医学系専門医・指導医。趣味はゴルフ、海外旅行、風景写真、水彩画等。

    著者紹介

    連載医療・介護従事者が「仕事を辞めたくなったとき」の処方箋

    医療・介護に携わる君たちへ

    医療・介護に携わる君たちへ

    斉藤 正身

    幻冬舎メディアコンサルティング

    悩める医療・介護従事者たちへ、スタッフ900人超を抱える医療・社会福祉法人の理事長が送る「心のモヤモヤ」を吹き飛ばすメッセージ! 日々、頑張っているつもりだけどなぜか満たされない、このままでいいのかと不安になる…

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