前回は、医療・介護従事者の「仕事人としての成長」に必要なものについて取り上げました。今回は、医療・介護従事者に配慮してほしい、患者・入居者の「居場所」について考察します。

「居場所」「行く場所」「座る場所」があるか

K先生から教わって今でもスタッフみんなに伝えているのは「人にとって大事なことって何か分かる?」という問いです。

 

それは、自分が住んでいるところ以外に「居場所」「行く場所」「座る場所」があること。先生はそれが社会であり人生なんだと言われました。

 

私はデイケアのことを一生懸命やってきたけれど、デイケアだけが居場所、行く場所、座る場所というのでは寂しい。もっと先を行きたいよね、とスタッフたちにも自分にも問いかけています。

 

ほとんどの人には家があって、家族があって、職場がある。だけどそれだけで幸せなのかというとそうじゃない。ほかにも自分の「居場所」「行く場所」「座る場所」があるかどうか。なぜなら自分は個人で生きてるだけじゃなく「社会」で生きてるからです。

本屋でも、カフェでも、スポーツジムでもかまわない

自分の人生にとっての「居場所」「行く場所」「座る場所」をいつも人間は探しているのかもしれません。患者さん・利用者さんに対しても同じです。スタッフにもよく言います。「君は、自分が関わっている人の居場所、行く場所、座る場所を考えたことあるかい?」

 

ただ入院している人が退院して自宅に帰ることができればいいってことじゃない。その人の人生はそれだけではないはず。もちろん、それをなんとかしろというのではなく「そこを一緒に考えてあげられているか」が大事なんです。

 

もっと言えば、そういう自分自身にとっての「居場所」「行く場所」「座る場所」が家や職場以外にあるのかどうか。ささやかでも、そういう場所をつくってほしい。高尚な場所じゃなくてもいい。本屋さんでもカフェでもスポーツジムでも、何かのサークルでも、なんなら競馬場だってかまわない。

 

家や仕事以外で自分が元気になれたり、何かチャージできるような場所を持っていることは人生にとって大事なことなのですから。きっと、そういうことも知ってる人のほうが仕事での幅も広がるんじゃないかと思うのです。

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