医療・介護従事者の成長に「人と接する機会」が大切な理由

前回は、医療・介護従事者に持ってほしい、「明日を大切にする」姿勢について取り上げました。今回は、療・介護従事者の成長に「人と接する機会」が大切な理由を見ていきます。

患者の前で居眠りする看護師・・・医療現場で目にした現実

前回の続きです。

 

日本中の病院を見て回られていたK先生と、あるシンポジウムでご一緒させていただいたときに、こんなこともありました。

 

昼休みに、先生が私に「ちょっと病院でも見に行くか」と言われ、ふらっと外に出て街中にあった比較的新しい病院に入っていきました。新しいはずなのに埃っぽい階段を上がって、ふと見るとナースルームの中に車イスの患者さんの後姿があった。ナースルームに近づいてぐるっと反対側に回ってみると車イスの患者さんの前で看護師が居眠りをしているのです。

 

患者さんは何か用があったのか、呼ばれたのか。居眠りする看護師の前でどうしようもなく、ただただ茫然としている。ショックでした。別の病室では若い介護職の人が汗びっしょりになってオムツ替えをしている。まだ介護福祉士の資格もなく看護助手と呼ばれていた時代です。

 

そして病院をあとにしながらK先生は私に言ったのです。「斉藤先生ね、これが現実なんだよ。君は老人医療はそんなもんじゃない。自分たちは頑張ってるというけれど、まだまだ実態はこれだ。隣の病院にも行ってみようか? 同じだよ」と。

自分を奮い立たせてくれた、K先生の言葉

現実を思い知らされた気がしました。それまで私は、父の教えもあって自分たちや頑張ってる人たちのことだけを見て息巻いていた。そうじゃないんだなと。

 

「僕は、こういう病院をなくそうと思ってる。だから斉藤先生、一緒にやろうよ」

 

先生の言葉はショックであると同時に自分を奮い立たせてくれました。

 

このように、私にとって「これが自分の仕事だ」と思うきっかけとなったのは、専門的なスキルを上げたり、日々の仕事をこなしたからではありません。もちろん、それも少なからずありますが、やはり大きなきっかけは人との出会いでした。

 

みなさんの中には、今の仕事に自信を持てていなかったり、「これが自分の仕事だ」と胸を張って言える人は少ないかもしれません。そうであれば、できるだけ多くの人と接すること。そうすることで、仕事人として成長できるはずです。

医療法人真正会・社会福祉法人真寿会 理事長

昭和31年生まれ。帝京大学医学部卒業。埼玉医科大学病院での研修後、医療法人真正会霞ヶ関中央病院に入職。同医局長を経て霞ヶ関南病院病院長に就任。現在に至る。

主な社会活動として、全国デイ・ケア協会会長、日本リハビリテーション病院・施設協会副会長、埼玉県地域リハビリテーション推進協議会会長。また帝京大学医学部・兵庫県立大学大学院・埼玉県立大学・目白大学等で講師を務める。厚生労働省社会保障審議会介護保険部会臨時委員も歴任。

これまでの著書に『ケアマネジメントと組織運営』(メヂカルフレンド社)、『主治医意見書のポイント』(社会保険研究所)、『ケアプランの上手な立て方』(日本実業出版)等がある。医師、日本リハ医学会認定臨床医、認知症サポート医、社会医学系専門医・指導医。趣味はゴルフ、海外旅行、風景写真、水彩画等。

著者紹介

連載医療・介護従事者が「仕事を辞めたくなったとき」の処方箋

医療・介護に携わる君たちへ

医療・介護に携わる君たちへ

斉藤 正身

幻冬舎メディアコンサルティング

悩める医療・介護従事者たちへ、スタッフ900人超を抱える医療・社会福祉法人の理事長が送る「心のモヤモヤ」を吹き飛ばすメッセージ! 日々、頑張っているつもりだけどなぜか満たされない、このままでいいのかと不安になる…

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