今回は、経営数字を悪化させる「公私混同」の経営について見ていきます。※本連載では、株式会社エッサム編集協力、株式会社古田経営・常務取締役の飯島彰仁氏、会計事務所経営支援塾の著書『9割が結果を出す! 小さな会社の脱零細マニュアル』(あさ出版)から一部を抜粋し、小さな会社が「脱零細企業」となるために必要な改善ポイントをレクチャーしていきます。

会社の私物化は〝負の経営資源〟を抱えている状況

零細といわれるような小さな会社には、経営資源として必要な「ヒト、モノ、カネ、情報」が圧倒的に足りません。この大事な4つの経営資源の代わりにあるもの、それが「公私混同」の経営です。

 

公私混同とは、一言でいうと、会社のお金を社長の自由にすること。会社を私物化するということです。それはつまり、〝負の経営資源〟を抱えている状況にあるといってもいいでしょう。公私混同は社長に「自分は羽振りがいい」と誤解させる悪魔の囁きのようなもの。遊興のための支出を会社につけたり、自分の小遣いがなくなると「ちょっとだけだから」と会社のお金を懐に入れたり……。会社と自分のお金の区別をつけることなく、一つの財布から出し入れしている状況です。

 

「そういったことをやっていると、税務調査で指摘されますよ」

 

とアドバイスしてくれる人がいても、馬耳東風。

 

「大丈夫。うちみたいに小さな会社に税務調査なんてこないから。もし、きても税務署からうちまでのタクシー代にもならないような修正申告をさせられるだけさ」

 

などとタカを括って右から左へと聞き流すだけです。

公私混同は確実に「経営数字を悪化させる」

公私混同のある会社はどんなに売上高が大きく社員が何人いても、零細と呼ばざるを得ない存在です。なぜなら、多少の公私混同はかまわないと思っても、それにともなう行為は確実に経営数字を悪化させるからです。

 

詳しくは後述しますが、会社のお金を少しでも懐に入れて戻さなければ、会社の決算書としては会社から社長への短期貸付金に計上せざるを得ません。俗にいう売上を抜く行為も、私的費用を会社経費につけることも、結局は決算書に傷をつけることになるのです。

 

零細を脱するには、まずこのような公私混同の体質を脱することです。

9割が結果を出す! 小さな会社の脱零細マニュアル

9割が結果を出す! 小さな会社の脱零細マニュアル

飯島 彰仁,林 徹,望月 由美子,竹内 武泰,西藤 友美子,鈴木 丈彦,吉田 茂治,川代 政和,吉田 一仁,山口 学,舟生 俊博,鈴木 崇之,飯田 隆一郎,多和田 裕,笠井 永寿,伊藤 由美子,櫻井 孝志,西川 弘晃,岡本 剛,竹内 友章,進藤 和郎,佐々木 輝雄,金崎 浩,加藤 太一,坂元 隆一郎

あさ出版

社員10人以下の会社の今日からできる経営改善。 小さな会社が零細と呼ばれる状況を脱し、成長し続けるための必須ノウハウを、経験豊富な著者陣がわかりやすく解説します。

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