今回は、伸びる会社の社長が使い分ける「3つの人格」について見ていきます。※本連載では、株式会社エッサム編集協力、株式会社古田経営・常務取締役の飯島彰仁氏、会計事務所経営支援塾の著書『9割が結果を出す! 小さな会社の脱零細マニュアル』(あさ出版)から一部を抜粋し、小さな会社が「脱零細企業」となるために必要な改善ポイントをレクチャーしていきます。
社長は「企業家・マネージャー・職人」であるべき
ここまでは、会社そのものについて見直すべき点を解説してきました。ただ、その会社を切り盛りしていくのは社長自身です。周りばかり改善しようとしても、それを指揮する社長が信頼されていなければ、当然ながら社員はついてきてくれません。
そこで、ここからは、社長自身について見直すべきポイントを解説していきます。
社長は本来次の三つの人格・資質を持つべき、といわれています。
①起業家
会社・事業を興し、育てていく人格のことです。
②マネジャー
会社の代表者ではなく、管理職として個別の業務や人員をマネジメントしていく資質をもった人格のことです。
③職人
何か一つのものを精魂込めてコツコツとつくり上げていく人格です。
この三つの人格すべてがまったく欠けているのでは、零細と呼ばれるような小さな会社でも社長にはなれません。普通、社長と呼ばれる立場の人は、この三つの人格の割合はそれぞれ異なるものの、どれかに秀でているものです。たとえば、「あの社長は起業家肌だね。アイデアマンで次々と会社を興していくのは得意だけど、人を使って地道にマネジメントすることには長けていないかもしれないな」
「あの社長は職人肌だから、一つのものをコツコツとつくるのは得意だけど、営業して販路を広げ、会社を大きくする発想には欠けるようだ」
というようなことです。
三つの人格の「臨機応変な使い分け」が大切
ところが、私たちのコンサルティング経験を踏まえると、成長する会社の社長はこの三つの人格を臨機応変に使い分け、場面に応じてそれぞれの人格を100%発揮しているように見受けられます。
会社と社員をマネジメントする場面では、いわゆる「職人魂」でものをつくり上げていくようなとらえ方をせず、社員にイキイキと働いてもらうこと、コストを抑えて部署を維持していくことなどを考えます。一つのものをつくり上げていくような場面では、これで新事業を興して一儲けしようなどとは考えもせず、ただ、ひたすらその製品の精度を上げることに注力します。その姿は、場面によって人格が変わったようにも見えます。まさに多重人格者、この場合は3重人格となります。
あなたは、どうでしょうか。どれか一つの人格だけを持っているタイプだと、会社をつくったはいいものの、維持・成長させていくことはできません。三つの人格をバランスよく持ち合わせているだけでも、ダメ。あるときは起業家、あるときはマネジャー、あるときは職人と、まるで豹変したかのように人格が変わり、そのとき大切なことに100%取り組んでいく。それが伸びる会社の社長の姿(資質)だと思ってください。
株式会社古田土経営
常務取締役
2005年に古田土会計公認会計士・税理士事務所(現・税理士法人古田土会計)に入所。現在は、同法人含むグループ企業の株式会社古田土経営の常務取締役を務める。経営計画と月次決算を主力商品とする古田土会計グループにおいて、営業活動することなく年間100〜150社の新規開拓をするスキームをつくり上げ、現在約2,300社の中小企業を指導。そのうち黒字率85.8%を実現している(日本企業の黒字率32.1%、平成27年度、国税庁調べ)。また、同ノウハウを同業者である会計事務所にも提供する会計事務所経営支援塾を運営する。
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連載「脱零細企業」を実現するための「経営カイゼン」マニュアル
望月経営会計事務所
経済産業省認定支援機関・経営コンサルタント・税理士
創業・ベンチャー支援センター埼玉 開業アドバイザー
平成20 年税理士登録後、望月経営会計事務所を開業。起業前から小さくても強い会社を作るコンサルティングを行い、起業前、起業後をトータルにサポート。
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税理士法人新日本経営
代表税理士
会計事務所及び事業再生コンサルティング会社に所属後、平成19年、新日本経営会計事務所開設。平成20年より埼玉県再生支援協議会専門アドバイザーとして活躍する。税理士法人新日本経営は、会計・税務はもちろんのこと、金融機関に強い税理士が、顧問先の「黒字化支援」、「融資・銀行対策」、「経営改善・事業承継」等の経営問題に積極的に取り組んでいる。
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リアン総合事務所
税理士・キャッシュフローコーチ®・SP融資コンサルタント®
大学卒業後、信託銀行に就職したが、金融ビックバンによる銀行の再編成を機に退職。退職後、税理士だった祖父への憧れから会計事務所で働きながら税理士資格の取得に励む。
苦節18年の歳月を要したのち合格し、念願の独立を果たす。
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吉田一仁税理士事務所
ファイナンシャルコーチ®・税理士
大学卒業後、渋谷の大手会計事務所に4年半勤務し、税理士としての実務を積む。2005年1月、「吉田一仁税理士事務所」を開業。中小零細企業の社外CFO(財務幹部)として、「資金調達・資金繰りサポート」でお金を確保し、シンプルでわかりやすい「お金の見える化」でお金をコントロールし、成果の出る「経営コンサルティング」でお金を生み出すサポートをしつつ、経営者の意思決定を正しい方向に導くファイナンシャルコーチ®。
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株式会社エム・エス・コンサルティング/公認会計士・税理士山口学事務所
公認会計士・税理士・AFP
1981年11月~1987年12月 、プライス・ウォーターハウス公認会計士共同事務所および監査法人朝日新和会計社(現、あずさ監査法人)に勤務。1988年1月 、公認会計士・税理士山口学事務所を開設。経営者の夢を将来ビジョンとして明確にし、そこに至る道筋を経営計画としてまとめ、会計情報を経営に活かして、「脱・公私混同」+「中小企業版PDCA」でゴールを目指す。
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税理法人浜松合同会計わたなべ事務所
キャッシュフローコーチ ®・税理士
「数字だけ見ても分からない。思いだけでも社員は動いてくれない。」と悩む、中小企業の経営者、幹部の方に『お金のモヤモヤと、人のイライラをスッキリさせる、脱・ドンブリ経営のすすめ方』をアドバイス。
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櫻井孝志税理士事務所
税理士
中小企業・零細企業や個人事業主のメリットは、歯車ではない、転勤がない、定年がない。デメリットは、収入が少ない、福利厚生がない、マニュアルや研修制度がない。働き甲斐のある仕事について、収入が付いてくればよいと考え、中小企業にふさわしいPDCAサイクルの回し方を指南。
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岡本剛税理士事務所
税理士・経営計画コンサルタント・PDCAコンサルタント
平成6年4月岩水明税理士事務所に入社。平成25年2月岡本剛税理士事務所開業。大阪市北区の南森町から経営をフルサポート。うまくいく会社・社長がいなくてもスタッフが自ら動く会社のPDCA(仕組み)を作りもサポート。
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竹内総合会計事務所
所長・税理士・中小企業診断士・行政書士
ヤンマーディーゼル(株)に入社し原価計算・経理業務に従事した後、大手会計事務所に入所し税務部長として中小企業の財務・税務・資金繰り指導に従事。
その後、平成9年マーケティング系コンサルタント会社に入社するとともに同年会計事務所を設立し所長に就任。平成15年1月、竹内総合会計事務所として独立。
経営サポート内容
経営診断による問題・課題の整理→経営計画による経営目標の策定→月次決算検討会による進捗確認→人事評価による全員経営の実現。
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金崎浩税理士事務所
税理士・行政書士・IT コーディネーター・ビジネスモデルデザイナー
1997年税務署退職、2002年税理士事務所を独立開業。いかにして未来に活力を与えられるかを念頭において、起業家の減少が歩止まりし増えていけるよう、経営者とともに進む。
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加藤太一会計事務所
経営計画コンサルタント・公認会計士・税理士
代表の加藤太一氏が大手監査法人に勤務後、地元の北九州で開業。儲かる会社はどう動いているか、その様々な手法を、そのやり方をまだ知らない経営者に伝え、中小企業を元氣にすることを使命にサポート。
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坂元公認会計士・税理士事務所
公認会計士・税理士
経営数字を使って社長とともにワクワクする未来を創る経営支援会計事務所として活動。漠然としたお金の悩みや社員との立場の違いからくる危機感のズレやギャップを次の2つのツールで緒に解消することを目指す。
● お金の稼ぎ方や残し方がわかる「月次決算書」
● 社員とビジョンを共有できる「経営計画書」
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ちとせ会計事務所
所長税理士
平成6年4月クラヤ薬品(株)(現在の(株)メディセオ)に入社。病院・診療所営業担当(MS)として医薬品及び医療機器の販売を行う。平成8年6月税理士・不動産鑑定士事務所に入所。平成24年8月税理士・不動産鑑定士事務所の所長の死去により独立を決意、平成25年2月ちとせ会計事務所を開設し現在に至る。
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伊藤由美子税理士事務所
税理士・未来会計コンサルタント・経営計画コンサルタント
平成元年5月公認会計士事務所入所。平成7年12月税理士試験合格(税法:法人税、相続税、所得税)、平成8年8月税理士登録。平成9年4月税理士事務所開業平成9年7月TKC全国会入会。
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