地方銀行のビジネスチャンスを広げる「地元中小企業」への融資

前回は、中小企業向け金融の現状を懸念する金融庁の「対応策」を取り上げました。今回は、地方銀行が地元の中小企業へ融資することで、自らのビジネスチャンスが広がる理由を見ていきます。

金融庁のスタンスを表すキーワード・・・「事業性融資」

前回の続きです。

 

具体的には、次のような点に注目して企業や金融機関からヒアリング等を行うとしています。

 

a.与信判断における審査基準・プロセス、担保・保証への依存の程度(事業性評価の結果に基づく融資ができているか)


b.貸付条件変更先等の抜本的事業再生等を必要とする先に対する、コンサルティングや事業再生支援等による顧客の価値向上に向けた取り組み


c.公的金融機関の融資.連携状況の実態把握(民間金融機関の融資と補完的・連携的か)

 

金融庁の基本スタンスは、「事業性融資」というキーワードに表れています。平たくいえば、担保よりも企業の将来性を重視し、その事業をサポートして、お金をつけるということです。

 

同じ文書で、「担保・保証がなくても事業に将来性がある先、あるいは足元の信用力は高くはないが地域になくてはならない先は地域に存在する」と断言しています。

 

金融機関に対し、企業の将来性や地域における役割を見いだす「目利き力」を高めるよう求めているのです。

2025年3月期、6割超の地方銀行で利益がマイナスに!?

そもそも、金融機関の経営環境は厳しさを増しています。

 

2016年2月から日銀が導入したマイナス金利政策の影響で、企業向けの貸出金利の引き下げ競争は激しくなるばかり。地方では人口減少が進んで、この先、資金需要はさらに落ち込んでいくことが予想されています。

 

金融庁が2016年9月に公表した「金融レポート」では、「顧客向けサービス業務(貸出・手数料ビジネス)の利益率を試算すると、2025年3月期では6割を超える地方銀行がマイナスになる」と予想しています。

 

つまり、全国に100余りある地方銀行のうち6割以上で、9年後には顧客向けサービスの損益が赤字に陥るというのです。

 

地域の中小企業との取引がメインの地方銀行にとって、中小企業の金融改善に取り組むことは、新たなビジネスチャンスに挑戦し、自らの収益改善につなげることにほかなりません。

Tranzax株式会社 代表取締役社長

一橋大学卒業後、野村證券に入社。金融法人部リレーションシップマネージャーとして、ストラクチャード・ファイナンス並びに大型案件の立案から実行まで手掛ける。主計部では経営計画を担当。経営改革プロジェクトを推進し、事業再構築にも取り組んだ。2004年4月にエフエム東京執行役員経営企画局長に。同年10月には放送と通信の融合に向けて、モバイルIT上場企業のジグノシステムを買収。2007年4月にはCSK-IS執行役員就任。福岡市のデジタル放送実証実験、電子記録債権に関する研究開発に取り組んだ。2009年に日本電子記録債権研究所(現Tranzax)を設立。

著者紹介

連載日本の金融業界を変える~フィンテックの可能性

企業のためのフィンテック入門

企業のためのフィンテック入門

小倉 隆志

幻冬舎メディアコンサルティング

圧倒的な「コスト削減」「業務効率化」「キャッシュフロー改善」を実現する最新技術とは? フィンテックは一時の流行の枠を超え、次のステージに入っているという見方が大勢を占める。 ビットコインのリスクなどマイナス要…

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