前回は、親事業者の取り締まりを強化する、下請法の運用基準の見直しについて取り上げました。今回は、日本の金融業の可能性を、銀行の「弱点」と「強み」から考察します。

マニュアルどおりで、安全を重視し過ぎる日本の銀行

日本の金融業、特に銀行はバブル崩壊後、膨大な不良債権の処理に追われて融資等については慎重になり過ぎたきらいがありました。金融庁による経営の健全性に対する厳しい検査・監督の影響もあったでしょう。

 

その結果、多くの銀行では担保や保証を重視した、ある意味、マニュアルどおりの横並びの融資しか行えなくなりました。

 

かつては、社長の人となりを見て企業への融資判断をしたといった話もありましたが、今、銀行にそういう数字に基づかない判断を求めても無理でしょう。

 

日本の金融業は従来、横並びで安全を重視し過ぎると指摘されていますが、それがいっそう強固になってしまったようです。また、国内の資金需要が大きく低下しているのに、銀行の数が多過ぎるのではないか(オーバーバンキング)という指摘があります。

 

GDPや預金額に対する割合で見て、アメリカやドイツは日本よりはるかに多くの銀行があるといわれ、単純な数の問題ではないにしろ、個人や企業など顧客の役に立っている銀行がどれだけあるのかという問題提起は当然でしょう。

財務体質が強固で、優秀な人材を確保しやすい利点も

その一方で、日本の銀行は不良債権の処理に長い時間を要したため、2008年のリーマン・ショックの原因となったサブプライムローン関連の金融商品などにはほとんど手を出しておらず、欧米の金融機関に比べると財務体質はしっかりしています。

 

預貸率の低さもあり、手元には十分な資金があるので、その気になれば貸し出しを増やすことはさほど難しくないはずです。

 

また、日本の金融機関はこれまで、就職先として人気が高く、優秀な人材を多く囲い込んできました。正社員数は業界全体で30万人弱います。この人材の能力を十分に引き出すことができれば、社会全体にとっても大きなプラスでしょう。日本の既存の金融機関には弱点もありますが、強みも持ち合わせているのです。

企業のためのフィンテック入門

企業のためのフィンテック入門

小倉 隆志

幻冬舎メディアコンサルティング

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