近年、観光目的で日本を訪れる外国人が急増していますが、日本特有の「おもてなし」が外国人旅行者に通用しないケースもあります。本連載では、外国人旅行者の趣向を掴み、持続可能なインバウンド観光客誘致を実現する方法を探ります。

訪日外国人の目的は「爆買い」から「体験型」へシフト

2020年には4000万人――これは政府が掲げた訪日外国人観光客の数値目標です。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、訪日観光客の需要への期待が高まっています。

 

観光庁が発表した2016年の訪日観光客はすでに2000万人を突破しました。一時期日本のテレビや新聞を賑わせた「爆買い」という言葉が象徴するように、良質な日本製品――高級品から、電気釜、はてはおむつ、マスク、化粧品、目薬にいたるまでありとあらゆる商品を買い求めることが観光客の大きな目的の一つでもありました。

 

多くの店では、その状況に対応すべく即戦力として観光客と同じ国の人を雇い入れ、にわかに通訳者を増やしました。店内では外国語のポップを多数採用することによって、商品説明などを充実させ、外国のお客様がより気軽に、また困難なく商品を手に取り、多くの商品を買えるように工夫がなされました。それが対症療法であるにせよ、押し寄せるお客様の利便性を考えれば迅速な対応だったのであろうと思います。

 

しかしやはりブームには終焉があります。16年の「爆買い」は次第にその様相を変えていきます。16年10月20日の産経新聞は、訪日客一人あたりの消費額が前年対比で17パーセント以上落ち込んできたという驚くべき数字をあげています。それでは、訪日客が減ったのかというと、必ずしもそうではありません。

 

外国人が日本の商品に消費する金額、すなわち「買い物代」が低下してきたのです。それと呼応するように上昇してきたのが「飲食費」「宿泊費」。つまりは、ただ日本製品を求めた「購買心」から旅行の目的が日本の「食」や「宿泊」「文化」「特異性」といった、日本ならではの旅を楽しむ方向へとシフトしてきたことを示しています。

 

旅行スタイルに明らかに変化が生じてきているわけです。特にここのところ目立っているのが、母国では味わえない経験、日本ならではの体験をパックにした体験型ツアー。

 

着物を着て京都の町をソロリソロリと歩く、正式なお茶室で窮屈な正座をものともせずお茶をたしなむ、料理教室で自分たちが作った和食に舌鼓を打つ、そんな外国人の姿を私たちもテレビなどで、次第に目にするようになりました。

 

「爆買い」から「体験型」へと確実に訪日外国人の目的はシフトしています。

インバウンド観光客誘致につながる「地方掘り起こし」

16年11月1日の日経新聞は「地方が訪日客を伸ばす余地が大きい」ことに注目しています。外国人の東京、京都、沖縄、富士山などに対する認知度がかなり高い一方で、外国人観光の目玉になりそうな伊勢神宮、出雲大社、奈良、飛騨高山などの認知度は現状ではまだ認知されているとは言えません。

 

観光大国として有名なフランスや英国などが、旅行者をどんどん地方に誘致していることに着目し、そこにビジネスチャンスがあると、記事は締めくくっています。

 

同記事によれば、2020年4000万人の目標を達成するためには3つの課題があります。

 

「脱アジア偏重」:アジア景気が急減速したり、対日関係が悪化したりすれば、訪日客が減るリスクがある。

「地方掘り起こし」:日本では有名であるが、外国人には知られていない地方の観光地を掘り起こす。

「モノからコトへ」:物に依存した観光振興の限界。特定の目的を持つ滞在型旅行を増やす必要がある。

 

これらの課題を克服してこそ「欧米開拓/リピーター獲得」持続可能なインバウンド観光客誘致にもつながっていきます。

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村田 志乃

幻冬舎メディアコンサルティング

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