前回は、日本人が意識すべき「ローコンテクスト・カルチャー」とは何かを説明しました。今回は、おもてなしを「ビジネスの収益」に直結させる方法を見ていきます。

「英語メニューあります」だけでは外国人客は入らない

おもてなしがビジネスの数字につながることをお伝えするために、予約なしで入れるカジュアルなお寿司屋さんで実際に起こった話を例にとりたいと思います。

 

ビルの中にあるこの店は外から中が見えるようになっており、ショーウインドウにはEnglish menu is available.「英語メニューあります」の貼り紙があります。

 

これを見れば、少なくとも外国人客をお迎えしようとする店側の姿勢は見えています。しかし、私はこの対応を十分とは考えていません。

 

そのときも、外国人がお店の外から店内を覗き込んでいました。カウンターには職人さんが立ち、日本人のお客様もいます。それでもその外国人はなかなか中に入ろうとしません。私たち日本人も不慣れな外国で、初めて入るレストランを前にして躊躇するはずです。彼らの心情は、その気持ちと何ら変わりありません。

 

店内の様子がわからなければ、そして日本語がわからなければ、ましてや「寿司」を食べたことがない外国人がすぐに入って行けないとしても、それはごく自然なことでしょう。

 

実際にメニューに写真があっても、その中の具材や材料がわからない。実は外国人は、こと食べ物に関して臆病なところがあるのです。

重要なのは「歓迎の気持ち」を見せること

その場にいた私は、こう思いました。声をかけてあげてほしいなあ、ひと言声をかけてあげれば、絶対に入るのに。ところが、中にいる店員さんは声をかけない。

 

この外国人は、夜に来ようと思ったのかもしれません。あるいは明日のディナーのために偵察に来たのかもしれません。でも、外から覗き込んでいるお客様がいることをわかっていながら誰も声をかけなかったとしたら、このお客様は二度と戻ってこないかもしれません。

 

ここで良い雰囲気と笑顔を見せることができれば、彼らは必ずやって来ます。実際トリップアドバイザーには「前日にレストランをチェックして雰囲気がとても良かったので行った」というコメントがよく寄せられています。また、私が銀座のレストランで出会った外国人の方も「お店の人に声をかけられ、感じが良かったので入りました」と話してくれました。

 

でも、誰も反応しなければ、「歓迎」の気持ちを見せなければ、二度とお店に来ようとは思わないでしょう。ここで、この店は確実にお客様を失うことになります。

 

それは一人のお客様を失うことに留まらないでしょう。その日の体験は友人に伝えられ、その友人から別の友人に伝えられ、果ては世界に伝えられるかもしれません。その損失はじわじわとボディブローのようにきいてくることになるはずです。

 

この話は次回に続きます。

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村田 志乃

幻冬舎メディアコンサルティング

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