企業も「シニア人材」の有用性を意識すべき
前回の続きです。私は、企業も人もシニア人材への考え方を根本から変えなければ、シニア人材が活躍する社会にはならないだろうと考えています。
企業は自社に利益を生む仕事を評価するべきで、それは若い社員もシニア人材も同じであり、年齢は関係ありません。仕事の内容によっては、ゆとり世代やさとり世代と呼ばれる若い社員よりもシニア人材にお願いしたほうがいいこともあるはずです。
例えば、出版社で本を作ろうと考えると、売れる本を作るためには読者層の好みをよくわかっている人を集めるほうがいいでしょう。本を読む人は若い世代よりもシニア世代に多いことを考えると、シニア人材のほうが有利です。
高齢化社会で本の主要購買層も高齢化していることを考えると、出版社は仕事ができない若手社員を使うより、経験が豊富で読者にも共感できるシニア世代を雇用したほうがメリットは大きいはずです。
生涯現役でいるために、定年前から「定年後」の準備を
反対に、若年層がターゲットのゲーム開発など、若い社員を使ったほうがいい仕事も当然あります。それをうまく判断し、人材を配置して使いこなすのが企業の役割です。
そして、企業にとって価値がある人材でなければ活躍できないのは当たり前ですから、シニア人材側は、自分の現在価値を高くしておかなければなりません。60歳を過ぎた人は会社員から個人事業主に転身して、企業と契約を結んで仕事をするというスタンスに変えるぐらいの気構えが必要です。
私も、定年と同時にそれまで勤めていた会社を辞めて、起業しました。今では、この選択は正解だったと思っています。
そうなるためには、定年までに会社を離れても売りになるようなスキルが必要です。起業せずに、別の企業に再就職するにしても、なんらかのスキルがないと雇ってもらえないでしょう。
やはり、生涯現役でいるためにも、定年前から定年後の準備をしておかないと、活躍することはできないのです。