前回は、「シニア人材」が歩むべきキャリアを考察しました。今回は、シニア人材が「生涯現役」でいるために必要なことを見ていきましょう。

できるだけ「過去」にはこだわらない

生涯現役というのは、現代に生きる日本人の一つの理想です。

 

ただし、江戸時代から明治、大正と平均寿命がもっと短かったときには、そんなことを考える必要はなかったはずなので、比較的新しいテーマといえるでしょう。

 

自分の親や親戚、周囲の友人の最晩年を目にするにつけ、なんとか幸福に過ごせないかと皆が思います。これも人間の欲なのでしょう。

 

私は生涯現役でいるための処方箋を持っているわけではありませんが、自分で気をつけていることといえば、できるだけ過去にはこだわらないことです。前へ進むことしか考えない、先のことをいつも考える努力は必要だと思います。

 

「1年後、こうなろう」とか「2年後、こうなっていたらいいな」と、未来を考える力があると、いつでも前を向いていられます。一瞬なら、「あのときはよかった」「楽しかっ74た」と思い出に浸るのもいいと思いますが、できるだけ先のことをいつも考え続けることが、生涯現役でいるためには必要でしょう。

 

自分が80歳、90歳になったときというのは未知の世界ですから、何が起こるか分かりません。大きなビジネスチャンスが巡ってくるかもしれませんし、コツコツ続けてきた仕事が突然評価される可能性もあるのです。だから、私は「もうこれでいい」と満足することはないでしょう。

 

それからありきたりですが、健康に気をつけること。そして、元気で働いている自分の姿をいつもイメージするのも生涯現役でいるためのコツです。

 

私は服装によって随分気分が変わります。ネクタイを外すと仕事や社会のことを考えなくなり、プライベートのことしか考えなくなります。これは、一種の職業病かもしれませんが、私が生涯現役で過ごすためには一生ネクタイを締めていたほういいと考えています。

周囲に「感謝」される人材を目指す

さらに言うと、高齢者になっても周囲の人に必要とされる人間でなければ、生涯現役とはいえません。歳をとって身体が衰えていくにしたがって、だんだんと小さい周囲になるかもしれませんが、「あなたがいてくれてよかった」「とても助かった」と感謝される人物でなければ意味がないと思います。

 

歳をとると、だんだん短気になるし、何かにつけて「年寄りだからと馬鹿にするな」という気持ちにもなるものですが、そこでイライラして暴力老人になってはいけません。

 

生涯現役でいるために私が考えているのは、そういう気構えで毎日生活することくらいです。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2017年5月29日刊行の書籍『シニア人材という希望』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

シニア人材という希望

シニア人材という希望

中原 千明

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会の到来とともに、日本人の働き方は大きく変わる――。 都市銀行でマネジメント職を歴任。定年後に起業し、多数のシニア人材を雇用する経営者が語る“新しい労働の在り方"とは? 2013年4月1日、高年齢者雇用安定…

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