今回は、「TIBOR」が上昇しはじめた理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

どこの銀行にも、お金があまっている⁉

銀行からの借入金利は、TIBOR+スプレッドにしなさい!
と言い続けています。
TIBOR(タイボ)は、東京間の銀行の、
現預金の貸し借りが反映された金利です。
そのTIBOR(タイボ)ですが、
昨年2月のマイナス金利導入から下がり始め、
昨年6月以降は、まったく変わらず、長らく停滞していました。
1ケ月TIBORが0.03%で続いていたのです。
それが、9月27日を機に、上がり始めました。
グラフをご覧ください。


2017tibor_2

10月6日時点で、0.04364%です。
マイナス金利導入後の、昨年4月並みの金利です。
上がったとはいえ、まだ、かなり低いです。

 

上昇しはじめた一番の理由は、今年7月24日から、
TIBORの算出方法が一部変わったことです。
それまでは、翌日物の短期コール市場の数字だけが、
反映されていました。
しかし、カネ余りの現状、コール市場がまったく動かない、
という日もありました。
どこの銀行にも、お金があまっているのです。
それでは実態を反映していないんじゃないか!
という声が、国内外の金融機関から上がり、気配値なども含め、
市場変動を広く反映させる仕組みに、見なおしたのです。

TIBOR上昇は「苦肉の策」⁉

この算出方法見直しを受けて、ユーロ円TIBORは、
7月31日から上がり始めていました。
しかし、中小企業の多くが対象となる、日本円TIBORは、
まだしばらく停滞していたのです。
それがようやく、動き出した、ということです。

 

なので、計算方法を変えたことによる、上昇です。
景気がよくなってきたから、などということではありません。

 

お金が銀行に余りすぎてコール市場が動かないから、
他の要素もTIBORに組み入れないと、
銀行の稼ぎとなる金利の上げようがないじゃないか、
ということなのです。
体よく言えば、銀行のご都合主義、なのです。

 

そもそも、これまでコール市場のみを反映させていたのは、
そのほうが銀行にとって、都合が良かったからです。
それが、都合が悪くなると、
多くの声を反映させましょう!と、態度を変えるのです。

 

TIBORを取り仕切るのは、全国銀行協会です。
協会の理事長は、3メガバンクの元頭取が順番にあたります。
銀行の収益が悪化している昨今、
どうにかしてTIBORを上げれないか、
という思惑があるのでしょう。

 

今回のTIBOR上昇は、
全国銀行協会による、「苦肉の策」です。
急上昇はないにせよ、どこまで上がって一服するのか、
経過を見ておきたいところです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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