今回は、現状の銀行事情に無知な、バブルの超高金利&カネ不足の時代を経験している「銀行サマサマ病世代」の実態を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「貸してもらえてありがたい!」

新たな経営相談を受ける際に、銀行借入金があればお聞きします。
「ところで借入金利は何%ですか?」と。
すると、驚くべき高金利に出会うことがあります。

 

「うちは今、2.7%です。」
「えっ!」と、思わず大声が出てしまいました。
かつての話しではありません。
つい最近の話しです。

 

「ちなみに、担保と個人保証は?」
「担保を差し出し、個人保証もしています。」
「銀行が個人保証をとることは今、金融庁が禁止しているんですよ!」
「えっ、そうなんですか?」
と、現状の銀行事情に、全くの無知なのです。
銀行にすれば、おいしすぎるお客さんです。

 

さらにお聞きすると、
その経営者の父である、会長が銀行交渉をしていました。
年齢は70歳代です。これは危険です。
バブルの超高金利&カネ不足の時代を経験している世代です。
典型的な、銀行サマサマ病世代です。

 

おそらく、金利2.7%、担保・個人保証有りでも、
「昔に比べて金利が下がった!」
「担保・個人保証ありでも、貸してもらえてありがたい!」
と、感じておられるのでしょう。
息子である社長に銀行交渉をさせないのも、
「自分には信用があるから、この条件で借りられている。
 社長では、まだ無理だ。」
などと考えていたり、するのです。
勘違いも甚だしいのです。

「あの銀行には助けてもらったから」という強い思い

日本銀行が公表している貸出平均金利は、
0.7%~0.8%です。
この会社のような高金利会社が、平均を押し上げているのです。
2.7%ということは、約2%の差です。
1億円借りていたら、年間200万円、
余分な金利を支払っているのです。
それでいて、社内では、
「コピー代を節約しろ!」
「光熱費をムダ使いするな!」
などと声を上げていたりするのです。
するべきことを、間違っているのです。
これではカネ回りは、よくならないのです。

 

しかも、ほぼ一行取引です。
銀行サマサマ病の会長にすれば、
「あの銀行には助けてもらったから。」
という思いが強いのです。
ますます、銀行を喜ばせるだけです。

 

日々、さまざまな経営者にお会いしていると、
まだこんな会社があるのか、と驚かされることがあります。
当人は、それが普通と思っているのです。
銀行を取り巻く今の環境を、知らないだけなのです。
つくづく、
知らないのと知っているのとでは大違いだと、
感じさせられるのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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