高圧線の電磁波が体調不良の原因に!?
前回に引き続き、住宅の購入時には「電磁波の測定」を行うべき理由を見ていきましょう。電磁波が人体に及ぼす影響としては、具体的にどのようなものが考えられているのでしょうか。
WHO(世界保健機関)は、高圧線の電磁波で、小児白血病のリスクが上昇することを認めています。また、その他にも、成人のがん、うつ病、自殺、心臓血管系疾患、生殖機能障害、発育異常、免疫学的変異、神経行動への影響、神経変性疾患などとの関連についても各国で研究が行われています。
また電磁波による影響の出方は、人によって異なります。中には、弱い電磁波にさらされても、なんらかの不調を感じる人もいます。この症状は「電磁(波)過敏症」と呼ばれます。
WHOによると(※3)、電磁過敏症の一般的な症状には次のようなものがあります。
●皮膚症状(発疹、チクチク感、灼熱感)
●神経衰弱症
●自律神経系症状(倦怠感、疲労感、集中困難、めまい、吐き気、動悸、消化不良)
(※3)ファクトシートNo.296「電磁過敏症」より
電磁過敏症の症状については、私は医学の専門家ではありませんので、ここでは詳しく話しませんが、電磁波によるものとして症状を訴える人がいることは、知っておいてもよいと思います。
電磁波に関しては、国際的にさまざまな基準がありますが、主なものは「WHO(世界保健機関)電磁波プロジェクト」「IRAC(国際がん研究所)」「ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)」の3つです。
これらが発表したさまざまなレポートは、インターネットを通して誰でも読むことができますので、情報収集してみてください。
電磁波についてはさまざまな考え方があるが・・・
電磁波の人体への影響を考える場合、一時的にさらされるケースと、長期にわたってさらされるケースとでは分けて考えたほうがよいともいわれているようです。
たとえば高圧線の直下では、かなり強い電磁波にさらされる可能性がありますが、短時間であれば健康への影響はないとされています。一方、電磁波の強い場所に住む=長期間にわたって滞在することによる影響は、慎重に考えたほうがよさそうです。
また、健康被害の可能性がある電磁波の基準値は国によって異なります。欧米各国と比較すると、日本の基準値はかなりゆるやかです。
このように、電磁波についてはさまざまな考え方がありますが、絶対に大丈夫とも言い切れないのは事実です。電磁波と健康との因果関係について実証する科学的根拠は今のところありません。
しかし、私は経験上、できる限り避けたほうがよいと考えていますし、建売住宅を購入する際の立地や周辺環境を検討するひとつの材料になりますから、重要なチェックポイントとして覚えておいていただきたいと思います。
実際にどの程度の電磁波が住宅内に発生しているのかを測定するには、市販の電磁波測定器を使用します。私自身は仕事上、精度の高い電波測定器を使っていますが、数千円程度のものからありますので、気になる方は自分で買って試してみることもできます。
[図表]電磁波に対する各国の規制